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お得意様①

シャワーから出た空は、用意されたバスローブを着た。 暫くするとオーナーがやってきた。 「やぁ空君。お清めは終わったかな?」 空は無言で小さく頷いた。 「今日のお客様の事は島田から聞いているね?お得意様だから、失礼のないようにね。さぁ行こうか」 空はオーナーに手を引かれ、部屋を出る。 「空君、今日はやけに素直だね」 「…どうせ、逆らったって意味ないから」 空は小さく言う。 逆らったって意味はない。 少なくとも今はその時じゃない。 空は、ここから逃げる事を諦めた訳じゃなかったが、今はどうすることもできない事を悟り、大人しくしているのだった。 「ふふ、そうだね。私は反抗的な君も好きだが、今日のお得意様を怒らせると少々厄介だからね。大人しくしていてもらえると助かるよ」 オーナーは不気味な笑みを浮かべながら言った。

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