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空とレオ
空が目覚めたとき、レオはベッド脇で本を読んでいた。
「ソラ、気分はどう?」
「うん、少し楽になったかも。レオ、ずっといてくれたの…?」
「勿論だよ。ソラの体調がよくなるまでいるよ。ただ、夜は接待をしないといけないけどね」
接待…。レオもやっぱりそういう事をしているんだ。頭ではわかっていたが、改めて空はそう感じた。
「レオ、ありがとう。看病してくれて」
「お礼なんていいよ。早く良くなるといいね」
「…良くならなくていい。体調が治ったらまたあいつらに変な事されちゃうから…。風邪をひいていれば、そういうことはされないし。それにレオが優しくしてくれる…」
空は目に涙を滲ませながら言った。
「泣かないで、ソラ」
レオは無言で空の目の涙を指で拭った。
そして、レオは空に笑いかけた。
その笑顔がなんだかキラキラして見えて、空は思わず言った。
「…レオって王子様みたい」
「ふふ、そう?そしたら空はお姫様だね」
「…僕、男だよ?」
空は頬を膨らませて抗議した。
「そうだね、ソラは女の子よりも可愛い男の子だね」
そう言うと、レオは空の唇にチュッとキスをした。
空は驚いて目を見開く。
「…レオ、なんで…?」
「ふふ、ごめん。なんだかソラの事が愛おしくて、思わずキスしちゃった。嫌だった?」
「…嫌じゃないけど…風邪、うつっちゃうよ…」
空は顔を赤らめながら言った。
「ソラの風邪なら、うつってもいいよ」
2人の目が合い、次は少し長めのキスをした。
空にとって、ここに来てから初めてやすらぎを感じられた瞬間だった。
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