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淫猥㉓

空の後孔から2つのローターが抜かれた。 空は、シートの上で体育座りをするように身体を丸めてすすり泣く。 「空先輩、泣かないでくださいよ。僕がもっと気持ちよくしてあげますから」 帰山は自分の屹立を取り出しながら言った。 「ほら、下を向かないで、可愛い顔を見せてくださいよ」 帰山は、空の顎を掴んで上を向かせようとした。 その時、パシンッ!と痛々しい音がバス内に響いた。 空が帰山の頬を平手打ちしたのだ。 「…ッ、いた…、空先輩?何をするんですか?」 帰山は、驚いたように空を見る。 「…嫌い…」 空はとても小さな声で言った。 「…聞こえませんよ、空先輩」 空は、キッと帰山を睨んで言った。 「嫌い…!だいっ嫌い…!」 「…なッ…」 空の言葉に帰山は絶句した。 空の潤んだ目は、強い軽蔑と怒りに満ち溢れていた。 人の悪口など絶対に言わないような空に平手打ちをされ、「嫌い」というストレートな浴びせられた。 こんな事を無理矢理しているのだからわかっていた事だったが、普段温和な空から直接的な言葉で言われたことが帰山にとっては相当なショックだったのだ。 「ははは、嫌われちまったな」 横の大男が言うと他の男達が笑った。 「…ッ、うるさい!」 動揺している自分をからかわれた事に腹を立てた帰山は、大男に掴みかかるが、逆に腹を殴られてしまう。 「…うぐっ!げほ…ッ」 「ガキが!さっきから偉そうにしやがって。調子に乗るなよ」 2人が掴み合いになりそうになったところで、バスが急に停車した。

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