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淫猥㉔
停車したバスの扉が開き、島田が乗り込んできた。
バスはいつの間にか一周して元の場所に戻ってきてきたのだった。
「皆さん、お楽しみいただけましたか?時間になりましたので、空君は返してもらいます」
島田が棒読みの敬語で言った。
続いて入ってきたスーツ姿の男達が、有無を言わさぬ様子で空に近付き、抱き抱える。
空はもはや体を動かす事もできず、ぐったりとされるがままになっていた。
「ま、待ってください!もう少し楽しませてくださいよぉ!お金なら払いますから」
帰山は慌てた様子で言った。帰山は、空を自由に出来る事に歓喜し、時間制限がある事を失念してしまっていたのだった。
「すいませんね。約束は約束ですから」
島田は不敵な笑みを浮かべて言った。
「そんなぁ…!」
帰山は島田に駆け寄ろうとしたが、スーツ姿の男達に乱暴に取り押さえられた。
「ウジ虫みたいな奴だな」
島田は、嘲笑うようにボソッと帰山に向けて言った。
空を回収した島田達は、そのままバスを降りた。
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