空がこの館に連れてこられて数日が経っていた。 度重なる日々の行為に、空の精神は徐々に蝕まれていた。 唯一の心の支えであるレオとも最近は会うことができず、空の気持ちは沈む一方だった。 その日の午後、島田が空の部屋を訪れた。 「なんだ、いつにも増して元気がないな」 ベッドの上で体を小さく丸めている空に対して島田が言った。 「…レオに会いたい…」 空はとても小さな声で呟いた。 「あ？何て言ったんだ？」 「レオに会いたいっ！」 空は島田の目を見て、訴えるように言った。 「はは、やっぱりお前レオの事が好きなんだな。どうりでオーナーがご機嫌斜めな訳だ。」 楽しげに笑う島田を一瞥すると、空は突然立ち上がった。 そして足早に島田に近付く。 いつも島田から逃げる事しかしなかった空が、自ら向かってくる事に、流石の島田も何事かと警戒し、身構えた。 空は島田の目の前までやって来ると、あろうか事か、背伸びをして島田の唇にチュッというキスをした。 「なっ、おまえ…なんのつもりだ？」 島田は驚いて空を見る。 「…レオに会わせて…」 島田を見上げながらそう言った空は、目を潤ませ、頬を赤らめ、今にも泣き出しそうな顔をしていた。 その空の表情を見て島田はすぐに意図を理解した。 「は、はは。なるほど。そういう作戦できたか。俺を誘惑して、レオに会わせて貰おうって魂胆だな」 島田はニヤリと笑った。