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束の間①
島田に連れられ、空はレオの部屋までやってきた。
「いいな?10分だぞ」
島田が鍵を開けながら言った。
「うん。わかってる。」
空は小声で答え、ドアノブに手をかける。
島田がその手首を掴むと、釘を刺すように言った。
「さっきの何でもするって言葉、忘れんなよ。戻ったら俺の言う事を聞いてもらうぜ」
島田が舌なめずりをするのを見て、空は目をそらし、小さくコクリと頷いた。
空は、ゆっくりとレオの部屋の扉を開け、中に入る。
レオの部屋は、空の部屋とほぼ同じ様な作りになっていた。
「…レオ?」
部屋を見回してもレオの姿がなかった。
広い部屋をぐるりと見渡し、レオのベッドに近付く。
少し乱された、レオの掛け布団。
空はそれをじーっと見つめると、少し戸惑いがちに手に取った。
まだほんのり温かい。
レオのぬくもりをほのかに感じ、思わず布団を抱きしめた。
その時、浴室のドアが開く音がして、空はバッと後ろを振り向いた。
「…ソラ?」
そこには、腰にバスタオルを巻き、少し驚いた表情をしたレオがいた。
「…レオ…ッ!」
久しぶりに見るレオの姿に、空は涙が溢れそうになるのをグッと堪えた。
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