黒いリムジンはパーティ会場の前で停車した。 空はオーナーに手を引かれ、車を降ろされる。 「さぁ着いたよ空君。今夜はとびきり素晴らしい宴になるよ。なにしろ君が主役だからね」 オーナーは意気揚々と言った。 パーティ会場は沢山の大人の男性が集まっていた。 身なりの良い中年の男性が多く、その異様な雰囲気に空は不安を覚える。 「パーティって何なの？僕をどうする気なの‥？」 「ふふ、可愛いね。不安なのかい？大丈夫。きっと楽しめるよ」 オーナーは不気味な笑みを浮かべて言った。 空は何とかして逃げ出す方法を考えるが、オーナーの部下達が背後から付いてきており、とても逃げ出せそうな状況ではなかった。 「あぁ、そうそう。言うのを忘れていた。空君、島田にひどいことをされたみたいだね」 突然出た島田の名前に空は身体をビクつかせる。 レオに会うことと引き換えに島田に体を弄ばれた事を思い出してしまう。 「空君、安心していいよ。島田が私に隠れて空君に性的な行為をしたのは許しがたい事だからね。彼は錠の付いた部屋に監禁したよ」 「え‥監禁…？」 空は驚いて聞き返した。 「あぁ、そうだ。空君。何度も言うけど、私は君が好きなんだよ。私に隠れて空君に触れるなんて許せない行為だ。本当だったら殺してやりたいところだよ。」 オーナーの口から「殺す」などという言葉が飛び出し、空は怯えた。 オーナーはなおも続けた。 「でもね、空君。君が私を嫌っていることは知っている。どうしても私が君を手に入れることは出来ない。非常に悲しく切ない事だが、それは受け入れなければならない事だと悟ったよ」 オーナーは、空の方を向き、ドレスから剥き出しになっている空の細い、両肩を手で抑えた。 「だから君を今夜のパーティの主役にしたんだよ。楽しい宴の主役にね。大丈夫、みんな可愛がってくれるよ。」 オーナーはにやりと不気味に笑い、その笑顔が空をさらに恐怖させた。