220 / 224
狂宴⑪
天井のガラス窓が勢い良く割れた。
そこから飛び込んできたのはユキトだった。
素早く地面に着地すると同時に、二丁の拳銃を持った両手をバッと広げた。
「…ユキト…くん…?」
空は涙を滲ませた目でユキトの姿を確認した。
「何だお前」
オーナーの護衛のスーツ姿の男達が銃をユキトに向ける。
しかし、それより先にユキトは引き金を引いた。
バンバンッと銃声が響き、スーツ姿の男達は倒れていく。
「な、なんなんだこいつ!!」
「この神聖な儀式を邪魔するのか!!」
空に群がっていた仮面の男達が口々に叫ぶ。
それと同時に閉ざされたホールの扉がバンッと勢い良く開き、スザクを中心に組織のメンバーが入ってきた。
「ここにいる全員捕獲する。抵抗すれば射殺する。いいな?」
スザクのドスの効いた低い声がホール内に響いた。
「くっ…何故この場所が…迎撃しろ!」
オーナーは慌てた様子で護衛の者達へ命令した。
銃撃戦が始まり、さっきまで空に群がっていた男達は「ひいぃ」という情けない悲鳴を上げて逃げ惑う。
「ソラっ!」
銃声の中でも聞こえた声。
ずっと聞きたかった声。
「レオっ!」
空はレオの名前を呼んだ。
レオは空に駆け寄ると、力いっぱい空の身体を抱き寄せた。
ともだちにシェアしよう!