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毒・7

「酔ってねえよ、シラフであれなんだ」 「煌夜さん、水飲まれますか?」  従業員に手渡されたグラスを取り、一気に飲み干す。体内に吸い込んでしまった悠吾の毒を浄化できたような気がして、思わず安堵の溜息が出た。 「悠吾さん、オークション会場を探してるって言ってましたね。本当にウチでやるんでしょうか」  問われた理人が首を傾げる。 「さあな、このフロア使うのは別に構わねえけど、巻き添えで妙なモン買わされるのは勘弁だな。悪趣味なジジイとその息子のやることだ、信用ならねえが」  俺はグラスをテーブルに置いて理人に言った。 「あの男が気に入らないなら、仕事変えたらどうですか。嫌いな人間に頭を下げるなんて理人らしくないです」  社長と言っても理人が具体的にどんな仕事をしているのか、俺は知らない。クラブの切り盛りは全て各担当の部下が行なっていて、理人は受けた企画にゴーサインを出したり、たまに現場へ出向いてあれこれ指示を出すだけらしいのだ。言ってしまえば誰にでもできる仕事である。恐らくは柳田グループのトップ連中から現場を割り当てられただけなのだろう。 「まあ、な」  理人が呟き、煙草を咥えた。

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