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7.お泊りといいコト4

「んっ、ン…ふ、あっ…」 下着を脱がされ、早川の中心を大原の大きな掌が包み込み上下にゆっくりと扱く。静かな部屋に、早川の吐息混じりの声とくちゅくちゅと下半身から聞こえる水音が響く。  掌で竿を扱かれただけで、先端がらダラダラと先走りが溢れる。溢れ出した先走りをぬるぬると塗り込むように、親指でくるくると先端を弄る。ひとりでする時は、こんな触り方なんてしない。好きな人に触られていると言うだけで堪らないのに、感じたことのない強い快楽に襲われ、おかしくなりそうだ。  空いているもう片方の手が、服の中に入り脇腹や背中を優しく撫でられる。擽ったいが、気持ち良くて身を捩る。倒れたしまわないように、大原の首の後ろに両手を回し、ぎゅっと抱き着いた。すると、ゆっくりだった大原の手の動きが速くなった。腰の奥から熱いものが込み上げて来る。   「ん、あっ…ねえっ、おーはらっ!も、むり…でるっ」 「…いいよ、出して」 「んっ!あ、ああっ…」  ビクビクと腰が大きく震える。大原の手に勢い良く精を吐き出した。 「はあ、はあ……んぅ、ふ…」 息が整う前に、また深いキスをされた。せっかく下半身の熱を解放したのに、そんなことをされたらまた熱が溜まってしまう。けれど、もっと触ってほしい。  焦ったくて早川のもので濡れた大原の手に腰を押し付けた。察した大原が、先ほど早川が吐き出したものを、それに塗り込むように扱き始める。 「んぅ…、ンっ、ふ…う…」 「…気持ち良いか?」 「んっ、きもちい…」 快楽に呑まれ、頭がくらくらする。身体にうまく力が入らなくて、縋り付くように大原に抱き付いて倒れないようにした。早川に余裕がないことに気付いた大原は、背中を撫でていた片手を服の中から引き抜き、ぽんぽん、と子供をあやすような手付きで早川の頭を撫でた。  それが何だか安心して、嬉しくてさらに密着するように大原に抱き着いた。自然と自身のそれを大原の下腹部に押し付ける形になってしまって恥ずかしかったが、そんなことより近付きたい欲求が勝った。  腰を密着させたとき、硬くて熱いものが自身の中心に当たった。それが何かすぐに分かった。硬くて熱を持ったそこに、腰を押し付けるようにゆっくりと揺らした。 「ん、早川…」 「っは…おおはらも、いっしょに…」 「あ、ちょっと待てって」  大原の制止を無視して、彼の下着に手を掛けた。彼自身が出てくるように下着をズラした。勃ち上がった彼のモノが、ぶるんと勢い良く飛び出した。早川のモノより一回り大きいそれに、ピッタリと裏筋同士をくっつけ握り、ゆるゆると腰を揺らした。 「ふぅ、ン…これ、やばい…っ!」 「…ん、気持ち良い、な?」 「うん…っ、ね、おーはらも、触って…」  二人で二人のモノをくっ付け合い、一緒に扱いた。だんだんと互いの手が速く動くようになるのが分かる。どちらのかわからない先走りが混ざり合い、くちゅくちゅと音を立てる。 「…早川、ごめん」 「え…わっ?!」  突然、ふわりと背中に柔らかい感覚。先程まで倒されていた場所に再び押し倒された。大原の片手は二人のものを握ったままさらに強く扱いた。そしてもう片手が早川のシャツを鎖骨付近まで捲り上げ、胸の飾りを引っ掻いた。擽ったさとぴりぴりと痺れるような快感に耐えようとして、ぎゅっとシーツを握った。  大原の手の動きに合わせるように、早川の腰が自然と揺れる。 「ン…おれ、もう、やばっ…またイく…っ!」 「…っ、俺も」  大原も限界が近いのか、彼の手の動きが更に速くなる。 「んっ、あ、あぁ…っ!」 「くっ…」 ビクビクと早川が腰を震わせ、自身の腹に精を吐き出す。それを追いかけるように、大原も同じ場所に精を吐き出した。  生暖かい感覚が腹の上に広がる。息を整えながら腹に触れてみると、混ざり合った二人の精液がべっとりと手に付いた。  自身の惨状を確認した途端、急に羞恥が込み上げてきた。先程まで彼の手に翻弄され、欲のままに快楽を求め、散々喘いだ。いくら気持ちが良かったとは言え、自分が発しているのが信じられないくらい情けない声だった気がする。気持ち良過ぎて泣きそうになっていたのも恥ずかしい。大原は余裕そうなのに、自分だけいっぱいいっぱいになっているのも、ひとりだけ二回も絶頂を迎えてしまったのも情けないし恥ずかしい。こういった行為は恥ずかしいことがいっぱいだ。  精を吐き出した疲労感と倦怠感から、ぼうっと白濁がべっとりと着いた腹と手を見つめていた。 「は…べとべとする…」 「え……は、早川ごめん!風呂行こう!」 「えっ、わあっ?!」 「ごめん、本当にごめん!」  疲労感からか、しばらく早川の隣に寝転がって動かなかった大原。早川が自分の腹の上に出した二人の精液をべたべたと触りだすと、慌てて飛び起きた。ひょい、と軽々早川を横抱きにして風呂場へ急いだ。自分のものを早川に掛けてしまったことが気にかかるようで、風呂場にいくまでに何度も何度も謝られた。  一応毎日部活で鍛えているのに、こんなにも軽々と持ち上げられてしまうのかと少しショックを受けた。しかし、珍しく慌てた様子の大原を見れたので良しとする。 * また風呂に入って身体を綺麗にし、二人で一緒に早川のベッドで入る。いつの間にかもう日付を跨ぐ時間になってしまっていた。ぎゅっとくっ付くと大原の体温を感じる。ぽかぽかとした温かさが眠気を誘った。  あんなことをしたばかりで少し恥ずかしかったが、二人きりで過ごせる時間も残りわずか。目一杯甘えることにして、彼に抱きついて胸に顔を埋めた。 「あー…今日が終わる…眠いけど寝たくない…」 「俺も眠い…」 「おーはら寝ないでよー…」  くあ、と早川が大きな欠伸をした。大原も眠そうで、早川の話に答えながらうとうとしている。それぞれ今日一日、部活と補習で体力を使い切ってしまっていたようだ。 「また、遊びにくる?」 「ああ、また来たい」 「今度は……え、えっちする?」 大原も半分寝ている状態だし、思い切って気になっていたことを聞いてみた。  ずっとここ最近悩んでいたことだ。今日も性行為紛いなことをしたが、最後まではしなかった。二人とも触って抜き合って終わり。早川が聞きたいのは、繋がってひとつになる行為。大原はやりたいと思っているのか、知りたい。 「しない」  大原も悩んでるのだろうかと思っていたが、意外なことに答えは速攻で返ってきた。  半分寝ているくせにはっきりと、しない、と言った。そんなきっぱりと否定されると、さすがにショックを受ける。少しでも興味があったのは自分だけだったのだろうか。 「早川が学校卒業するまで、しない」 「え…なんで?」 「なんでって…大事にしたいから」  大事にしたい、と言われて心臓が跳ねる。さっきまで目を開いているのがやっとだったのに、急に目が覚めてしまった。   「早川…怖がってるだろ?」 「べ、別に!大原なら、いいと思ってる、けど…」 「俺が駄目なの。今は…一緒に、居るだけ、で………」 「…あれ、大原?寝た?」 返ってきたのは気持ち良さそうな寝息。先ほどから目を閉じて話ていたが、ついに眠気が限界を迎えたようだ。  最後、彼は何て言おうとしたのだろうか。続きが気になる。大事にしたいなんて言われて、先程から心臓が煩いし顔が熱い。眠気なんてすっかりどこかへ飛んでいってしまった。  彼の寝顔を見るのは二回目だ。前回の風邪の時とは違って、眉間にシワが寄っておらず、 気持ち良さそうに眠っている。  最初、彼は幸福が怖いと言った。今はもう慣れただろうか。早川は幸福を知らない彼に、それを与えようと決めていた。しかし、それがちゃんと出来ているのだろうかと考える時がある。    その答えはわからない。ただ、隣で眠る幸せそうな寝顔がその問いの答えだったらいいなと、早川は思った。

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