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20.長い昼寝とふたりで見る星2
*
次に目を覚ました時は、窓の外は薄暗くなっていた。
身体の節々が痛い。腰が、脚が筋肉痛で悲鳴を上げている。思うように力が入らない。シーツも体も汗やら精液でベタベタして気持ち悪い。しっかりと後始末された状態だった朝とは打って変わって、事後そのままの状態。
でも、今度は隣に彼が居た。
静かにすやすやと、無防備な寝顔を晒している。
その顔がいつもと違って年相応で気が抜けていて、間抜けで気持ちよさそうで、じわっと胸が温かくなった。
朝、というより昼に目が覚めて、ベッドで交わった。それから一緒に風呂に入ったら、何だか堪らない気持ちになり触り合った。それだけでは足らず、またベッドに戻って行為に及んだ。もう何も出ないって泣くまでイかされた。散々突かれて散々出して、最後は眠るように意識を飛ばした。きっと大原も体力の限界を迎え、そのまま眠ってしまったのだろう。
昨夜が初めてだったのに、さすがにやりすぎだと自分でも呆れているが、自制が効かなかった。
だって、あと2日しか一緒に居れないのだから。だから出来るだけ彼の熱を、形を、彼自身の想いを身体に焼き付けたい。次に会うまでに自分の身体が彼を忘れてしまわないように刻み付けたかったのだ。
それにもうひとつ言い訳をすると、まだ自分たちは10代なのだ。若いのだから、たくさんやったっていいじゃないか。
「…けほっ、うぅー…イテテ……」
声はさっきよりもさらにガラガラになっていた。喉も渇いているせいでより一層酷い。すこし身体を動かしてみようと、ごろりと寝返りをしてみる。下半身はギシギシと痛むが、動けないほど酷いという感じではないようだ。ずっと運動部だったおかげか、身体は人一倍丈夫なのだ。
「…ん、駿太、どうした?」
寝返りを打ったときの振動のせいか、隣に居た大原が目を覚ました。
まだ半分夢心地で、気怠げに早川に向かって手を伸ばし、さらさらと髪を撫でた。
「ごめん、起こしちゃった?」
「…いや、平気だ。いい加減起きないと…今何時だ?」
ベッドヘッドに置いてあったスマートフォンに手を伸ばし、画面を見ながら大原は、もうこんな時間かと大きなため息を吐く。
隣からちらりと画面を覗くと、18時を過ぎたところだった。さすがに食事も何もせずにセックスだけして1日を潰しかかっている事実に引いた。それは大原も同じだった様子で、苦虫を噛み潰したような顔をしている。
起きた時から抱き合っていたのでもちろん朝から何も食べていない。さすがに腹が減った。身体に力が入らないのは、そのせいもあるかもしれない。これも大原も同じだったようで、素直な彼の腹は、ぐうと音を立てて空腹を訴えている。
「お腹空いたね」
「…ああ、さすがにな。食えるか?」
「うん、超食えるよ」
「何食いたい?何でもいいなら家にある物で作るし、食いたいのがあるなら買ってくるけど、どうするか」
「うーん……わがまま言ってもいい?」
大原の料理も食べたかったけど、今はそれよりもっとスタミナのつきそうなものを、ガツガツ腹一杯食べたい。
「焼肉食べたい」
一昨日行ったあの店、めちゃくちゃ美味かった。こんな短期間に何度も行くなんて贅沢過ぎる。
「…いいな。行こう」
大原は美味しい物が大好きな大食らい。焼肉、という提案を断るわけがなかった。
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