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21.最後の夜と大事な借り物1

 明日の昼、帰らなければならない。  4泊5日はあっという間に過ぎた。旅行としては長過ぎて、恋人との逢瀬にしては短過ぎる時間。  数年間我慢して我慢して、やっと会えた大事な人。これが最後の別れではないことは分かっているが、やはり寂しいものは寂しい。  寝て起きたら、タイムリミットがグッと近づく。もう日付けが変わっているというのに、2人とも寝付けなかった。  寂しさを埋め合うように、手を繋いてキスをした。最初は啄むだけのキスだったのに、いつの間にか舌を絡め合う深いキスに変わっていた。どちらが先に我慢できなくなったかなんて、もう覚えていない。 「ふぅ……んっ、なご、も…、へーき、だから、ぁ」 「……駄目だ、ちゃんと解さないと」 「ん、んぅ……もぉ、いいってばぁ…!」  ぐちゅぐちゅとローションがかき混ぜられる卑猥な音と、早川の口から漏れる熱の籠もった声だけが聞こえる。  早川の後孔は、もうすっかりと柔らかくなっていて大原の指を3本咥え込んでいる。昨日散々大原の物を咥えていたのだから、もう充分に準備は整っている。  いつまでもやんわりと攻め立てる焦ったい刺激に、我慢できず勝手に腰が揺れる。ふと、大原の指がナカのしこりを掠めた。突然の快楽に耐えきれず、身体がビクビクと勝手に震えて止まらない。  ここか、と大原は呟いてさらに攻めるようにしこりを刺激する。 「んう〜〜っ、も、やだ……ほし、ぃ…」 「もう少し、頑張ってくれ」 「う、あっ…、っ!」  カリカリと優しく刺激されてたしこりを、人差し指と薬指で挟み、中指でグリグリと押し込むように弄られたらもう堪らなかった。身体中に快感が駆け巡り、腹の奥から何かが迫り上がってくる感覚。勝手にボロボロと目から涙が溢れる。こんなの、知らない。 「……なごぉっ、ぁ、なんか来る…っ、うう…っ」 「大丈夫、大丈夫だから。気持ち良くなろう、な」 「ぅあ……、こわいっ、こわいよ……ひ、あああっ!」  ぱちん、と頭の中で何かが弾けた。背中がピンと反り返り、目の前が真っ白になった。脚が勝手に伸びて、爪先がきゅっと丸まる。逃しきれない快楽が体の中をのたうち回る。射精した時の快感に似てるのに、気持ち良さがいつまでも身体から抜けきらない。内股や腰はビクビクと痙攣したまま止まらない。気持ち良い、気持ち良い。頭の中はふわふわして何も考えられない。何だこれ。 「駿太、大丈夫か?」 「……んっ、あれ……、おれ、イった……?」 「ああ、たぶん……気持ち良くなかったか?」 「……っ、やば、かった……」  正直、気持ち良すぎて辛い。まだ快楽が尾を引いていて、指一本動かすのもしんどい。大原は労わるように頬や腰を撫でてくれるが、それすら感じてしまう。全身が性感帯になっているようだ。とんでもない扉を開いてしまった気がする。 「駿太、膝のこれ……痛い?」 「ん……っ、あ、それ?いたく、ないよ」  膝に触れた彼の手が、大きな傷痕を撫でた。  がっつりと皮膚を縫った大きな手術痕。彼や多くの人にとって忘れられない日となった、あの事件の日に出来たものだ。 「痕、残ってるんだな」 「んー、たぶん、もう消えない」 「……そっか」 悲しそうな、何か思い詰めているような顔をして、大原はそう呟いた。そして早川の膝を持ち上げ、傷跡にそっと口付ける。ぴくり、と早川の身体が跳ねた。達したばかりの身体はどこも敏感になってしまっているようで、少しの刺激も堪らない。彼から与えられる全てが、快感として身体が拾い上げてしまう。

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