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永太郎と早川家8

 準備を終えてバスルームから出る時、早川はずいぶんと体力を消耗してしまったようで、ぐったりとしていた。それもそのはず、準備だけで済むはずも無く、少し触り合いっこしてしまったのだ。  準備をしている最中に、早川の気が紛れるようにと前を触って抜いてやったし、また腰が砕けてしまうようなキスをした。気持ちよさそうにしてきたが、疲れてしまったようだ。  バスルームから彼を運んで、ベッドに横たえる。目がとろんとしていて眠たそうだ。  普段の大原だったら、今日はやめようか、と声をかける。しかし、今日はその一言がどうしても出ない。  その大原の様子を見ていた早川が、ぎゅっと大原の腕を掴む。 「…ん、大丈夫だから、続き、しよ…?」  大原の心の中は早川に筒抜けなようだ。 「……本当に大丈夫か?俺、駿太に無理させたく無い」 「うん、大丈夫だって…!ナゴから、こんなに誘ってくれた事、無かったから……俺も、したい」  早く来い、と早川の手に力がこもった。  どうして彼はこんなにも可愛くて、格好良いのだろうか。自分には勿体ないくらいの、最高の恋人だ。  その最高の恋人が、自分を求めてくれている。応えない、なんて選択肢は大原の中から吹っ飛んで行った。 「……辛かったら、ちゃんと言ってくれよ?」 「うん……っ、ぁ」  こくり、と早川が頷いたのを確認して、ローションを手に取る。いくら風呂で準備したと言っても、慣らさずに挿れることなんて出来ない。つぷり、と彼の双丘の奥へ指を挿れた。ローションを塗り込むように何度か浅く出し入れすると、柔らかいそこはすぐに2本の指を受け入れるようになる。 「は、ぁ……ねえ、も、いいから……っ、ぁ」 「…っ、駄目だ。駿太に痛い思いをして欲しくないから、これだけはちゃんとやらせて」 「うぅ……でも、はやく、欲しい…っ」  もう指だけでは焦ったくなってしまったのか、早川が早く欲しいとぐずりだしてしまう。  またぎゅっと胸が絞まる。本当は大原だって早く挿れたいのだ。そんなおねだりされたら、今すぐにでも挿れたくなってしまう。理性をしっかりと働かせてなんとか耐える。しっかりと早川の後ろを解してから、ゆっくりと指を引き抜いた。  質量を失ったそこは、ヒクヒクとしながら大原のもので突かれる事を待っている。  もう大原にも余裕が無い。いつもスキンはベッドヘッドの引き出しの中にある。乱雑に中身をあさり、手に取ったのは、スキンが入っていた空箱。残りの数をちゃんと確認したら良かったと後悔しても、もう遅い。 「……ナゴ?どうしたの?」 「あ、いや……ごめん」  急に謝りだした大原に、早川は首を傾げる。  大原の手元の空箱、そして顔をじっと見た後、そういうことか、と納得したような素振りを見せた。

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