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2-01-2 恋人達のクリスマスイブ(2)
僕達は、ゆったりとしたクリスマスイブの食事を終えて、駅に向かった。
イブをすっかりと満喫できた。
イルミネーションも綺麗だったし、ツリーもよかった。
プレゼントもまずまずだし、食事もファミレスながらいつもより美味しかった気がする。
ああ、家に帰って今日撮った写真を見返すのが楽しみ。
ヒューっと凍るような風が頬を撫でた。
「うー。冷えるな」
雅樹が、コートの襟を閉めた。
そこへ、粉のようなものが目に留まった。
「雅樹、みて! 雪だよ!」
「そっか、冷えるわけだ……」
僕は、曇った空を仰いでくるっと回った。
「やった! ホワイトクリスマス!」
「ははは。はしゃぎすきだぞ! めぐむ」
「だって! ふふふ」
こんなサプライズまで! 今年のイブは最高!
一転、がっくりとする。
満員電車だったのだ。
さすが、クリスマスイブ……というわけ。とほほ。
満員は嫌だけど、実は嫌な事ばかりではない。
僕は扉を背にして、向い合せに立つ雅樹の腕の中。
ほぼ雅樹に抱かれているのと同じなのだ。
でも、嬉しい反面、雅樹に悪い気がする。
雅樹は腕で扉を抑え、周りからの押し込みを一手に引き受けてくれているのだ。
僕は、ふと雅樹を見上げる。
雅樹は、ニコリと微笑む。
辛いはずなのに……。
僕は小声で雅樹に話かける。
(雅樹、大丈夫?)
(めぐむこそ、痛くないか?)
(うん、大丈夫。ありがとう)
キー!
電車がブレーキで、車内はガタっと揺れた。
「申し訳ありません、ただいま電車が揺れましたことをお詫びいたします」
そこへ車内アナウンス。
って、いうか……。
いまの揺れで、雅樹の支えが緩み、僕達はいっそう密接する。
いまや僕の股の間に、雅樹の脚が食い込んでいる。
やばい。
雅樹のももが、僕のあそこにもろに当たっている。
このままだと、変に意識しちゃう……。
(雅樹、ちょっと脚。どけてよ)
(めぐむこそ! 俺のペニスに脚が当たっているよ!)
へっ?
確かに、僕の脚に雅樹のペニスが当たっている。
しかも、ピクン、っとかすかに反応したような気がした。
(ちょっと! 雅樹、おっきくならないでよね! 電車なんだから!)
(わかっているよ! めぐむこそ、勃起させるなよな!)
(もちろん!)
とは、言ったものの、感じないと言ったらウソになる。
雅樹の脚にグイグイと押される感じが、堪らない。
ああ、だめ。
そんなに押したら……。
はぁ、はぁ……。
雅樹の脚で抑えつけられて身動きが取れない僕のあそこ。
そして、なりふり構わずに押しこまれる。
僕のつぶれちゃうよ……。
痛い……でも、気持ちいい……。
はぁ、はぁ……。
電車はカーブなのか、僕の方へGがかかった。
ひっ……。
雅樹の脚が僕の柔らかい部分を押し上げる。
気持ちよくて、ムクムクと勃起してくるのがわかる。
もう、これ以上は我慢なんてできないよ……。
(雅樹……脚、はぁ、はぁ……押し付けないで)
(めっ、めぐむの固くなってきてるんだけど……はぁ、はぁ)
(雅樹もでしょ! はぁ、はぁ)
(はぁ、はぁ……それにしても、揺れと振動が……うっ。やばい、気持ち良くなってきた)
(雅樹、僕も……はぁ、はぁ、潰れちゃいそう……)
(めぐむ、だめだ。俺いきそう……)
(はぁ、はぁ、雅樹、ぼっ、僕も……)
(だめ、いく……)
(俺もだ……あっ、いく)
重ね合わせた二人のお股で、雅樹のビクンビクンという痙攣を感じながら、熱い物が噴き出していく……。
僕達は、次の駅で途中下車をした。
各駅停車の小さい駅。
僕達は、急いでトイレに向かうと、精子でグチュグチュになったパンツを穿き替えた。
「ははは。まさか、ここでプレゼントのパンツが役に立つとはな!」
「うっ、うん。本当にね。ふふふ」
僕達は、誰もいないホームのベンチに座った。
吐く息が白い。
「ねぇ、雅樹。静かだね」
「ああ。誰もいないな」
雪が線路を白く染めていく。
本降りになってきた。
「雪、積もりそうだよね」
「ああ。めぐむ、寒いか?」
「少し」
「待合スペースに行こう!」
「うん」
ホームの待合スペースは、暖房が効いていた。
ホッとする。
僕達はコートを脱いでベンチに腰掛けた。
「なぁ、めぐむ。今年ももう終わるな」
「そうだね。あっという間だった」
「そうだ、今年一番の思い出と、来年の抱負を言っていかないか?」
「あっ、面白そう! いいよ」
「じゃあ、めぐむから!」
「えー、僕?」
雅樹は、にっこりと頷く。
「僕の今年一番は、雅樹と付き合えた事!」
「ちょっと待って!」
「ん? どうしたの?」
「それだと俺も同じになっちゃうから、付き合ってからの一番で」
「うーん。分かった。それならね……」
一番は、雅樹とエッチした事、だけど……。
でも、それだと露骨すぎるよね。
「僕は、あじさい公園で雅樹とキスした事かな」
「ほうほう。あじさい公園かぁ。懐かしいなぁ。確かにいい思い出だよな」
「それで、来年の抱負だけど」
これは、ずっと考えている事がある。
それを宣言するのにいい機会。
「泣き虫を治す! これ、どう?」
「おぉー! 凄いな。でもさ、めぐむ。俺の前では無理して泣くの我慢しなくていいからな」
雅樹は、そういうと爽やかな笑顔で僕の頭をポンポン撫でる。
もう!
そういう事するから、涙腺が緩んじゃうんだよ……。
「はい! じゃあ、次。雅樹の番!」
泣き虫が出る前に雅樹にバトンタッチ。
「よし、俺な。俺の今年一番は、」
「一番は?」
「めぐむとエッチした事かな」
「ぶっ!」
ストレートにキター!
「もう! 恥ずかしいなぁ」
「ははは。だって、しょうがないだろ?」
でも……良かった。
同じで。
それはそうと、言わなくて正解だった。
また、めぐむがエッチだ! とか言ってからかわれるところだった……。
「で、来年の抱負だけど」
「うん」
「新しい事にチャレンジしようと思っている」
「へぇ、チャレンジかぁ。何だろう?」
「今は秘密。でも、もう少ししたら報告できるかな」
「ふーん、楽しみ!」
そこで、構内アナウンスが入った。
「只今、雪のため電車が止まっております。お客様には大変ご迷惑をおかけしております。尚、復旧の見込みはたっておりません。お近くの交通機関をご利用ください……」
僕達は、顔を見合わせる。
「まじか。やばいなぁ……」
「どうしようっか? 雅樹」
「だから、電車も来ないし、人も居なかったのか……」
「そういう事だね」
困った事にはなったけど、イブの夜に雅樹と二人っきり。
ふふふ。
だから、実は嬉しくてワクワクしている。
「なぁ、めぐむ」
「なぁに?」
「こっちへ来いよ」
「うん」
僕が雅樹の横に移動すると、雅樹は僕の体を引き寄せた。
雅樹の優しい笑顔。
トクン……。
このままも時が止まっちゃえばいいのに。
どちらかともなく唇を合わせる。
チュッ。
ああ。
クリスマスに愛する人とキス。
なんて素敵なんだろう……。
「めぐむ、プレゼントのパンツ穿いているところ見たいな」
「はっ、恥ずかしいよ。こんなところで」
「平気だって。電車止まって誰も来ないから」
「で、でも……」
「なぁ、いいだろ?」
雅樹は、僕の首筋に鼻を押し付ける。
そして、ペロッと舐める。
体にゾクゾクッと電気が走る。
「あぁ、やめて……感じちゃうよ」
「めぐむのパンツ、見させてくれるまでやめない」
「はぁ、はぁ、意地悪!」
「ははは。じゃあ、いいよな?」
「うっ、うん。いいよ。でも、雅樹も見せてよね!」
「ああ、もちろん!」
脱ぎ捨てた二人のズボン。
僕は、恥ずかしくて前を手で隠す。
その僕の手首を無造作に剥がす雅樹。
ああ、恥ずかしい……。
ピンク柄のパンティーの前がこんもりと膨らむ……。
「うわぁ、エロい!」
「まっ、雅樹だって!」
「あはは、でも、凄い光景だな。下半身パンツ剥き出しの男二人が互いのを見せ合っているって」
「ふふふ。本当に……エッチだよね」
「めぐむ、俺の膝上に来いよ。キスしようぜ!」
「うん!」
雅樹のももを跨ぐようにちょこんと座った。
あったかい。
雅樹のもも。
僕は、雅樹の首に腕を回し、唇を重ねた。
んっ、んっ、んっ、ぷはっ。
「はぁ、はぁ、雅樹のあそこ、おっきくなってるよ」
「はぁ、はぁ、そりゃ、そうだよ。めぐむのも固くなっているぞ」
「バカ!」
僕達は、互いの唇をむさぼる。
舌を絡ませ、唾液が混ざり合い、口から吐息が漏れる。
ああ、キスだけど、体を絡めあっているみたい……。
体の芯がジンジンと疼いてきちゃう……。
「はぁ、はぁ、ねぇ雅樹……しよ?」
「ああ。めぐむ、そこに手をつけよ!」
「うん!」
僕は、ベンチに突っ伏してお尻を高く上げる。
あっ、そうだ。
今は、女性用のショーツを穿いているんだった。
きっと、お尻の丸味がはっきりとわかる。
はっ、はずかしい……。
「いい眺めだ……エロいぞ、めぐむ」
「やっ、やめてよ。そんな、言い方……」
「嬉しいくせに! ははは」
「もう!」
雅樹は僕のパンツをペロンとめくり、お尻を丸出しにさせる。
そして、そそり立つあそこを僕にアナルに押し当てた。
熱くて固い。
雅樹の体温が伝わる。
あったかい……。
嬉しくてヒクヒクさせる僕のアナル。
早くきて。
それに答えるように、雅樹のペニスは僕の中にゆっくりと挿入されていく……。
「あっ、あっ、雅樹……固くておっきい……」
「はぁ、はぁ、めぐむの中、きつい……気持ちいい」
徐々に、雅樹は、激しく腰を突きあげ、僕を攻める。
僕のアナルの中の気持ちいいところが、雅樹のペニスと合わさり擦れ合う。
まるで、キスするかのように……。
「雅樹、今日、激しいよ……僕、すぐに気持ち良くなっちゃう……」
「めぐむ。久しぶりだったから、俺も止まらないよ、はぁ、はぁ」
ああ、雅樹はこんなにも僕を喜ばそうとしてくれる。
僕は、喘ぎ声を漏らしながら、雅樹を体中で感じる。
これが幸せなんだ……。
「雅樹の、どんどん固くなってくる……ああ、僕の気持ちいいところに当たって切ないよ……」
「はぁ、はぁ、今日のめぐむ、堪らないよ……最高に気持ちいい」
ああ、僕と雅樹は、こうやって繋がって、身も心も一つになるんだ。
そして、僕達は、同じリズムで、これかも同じ時間を刻んでいく。
「雅樹、僕もう、いきそう……あっ、あん」
「めぐむ、俺もいきそうだ……めぐむの中にたくさん出したい、はぁ、はぁ」
これから起こる、楽しい事や嬉しい事。
それだけじゃない。
きっと、辛い事や悲しい事もあるんだ。
でも、雅樹を愛する僕と、僕を愛する雅樹となら、どんな事も乗り越えて行けると思う。
ねぇ、そうだよね。雅樹。
「雅樹、出して、僕の中に……雅樹の精液でいっぱい……僕の中を満たして、雅樹……」
「分かった、たくさん出すからな。めぐむ、でる、めぐむ……うぅ」
「あっ、あっ、雅樹……いっちゃう……」
「めぐむ、めぐむ、いくっ……」
雅樹、愛しています。
この聖なるクリスマスの夜。
神様に誓って。
僕の思いが、ちゃんと届きますように……。
僕は、お腹の中に熱い物が広がるのを感じながらそう祈っていた。
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