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サイドストーリー2 めぐむキューピッド(7)
僕は、カフェを出てその足でブルーベリー公園に向かった。
夕暮れどき。
公園に着くと、僕は辺りを見回す。
「シロー、クロくーん」
姿は見えない。
まだ、どっかにいるのかな?
僕は、茂みを見てまわる。
シロの髪の毛がチラッと見えた。
「シロ、ここにいたんだ」と言おうとして口をつぐんだ。
裸になったシロとクロ君が、交じり合っていたからだ。
シロは、クロ君に覆い被さりキスをしながらユッサユッサと揺れている。
ああ、なんて激しいの。
僕は、隠れて二人の様子を見守る。
クロ君のよがる顔。
シロの、はぁ、はぁと荒い息遣い。
腰の動きは徐々に激しくなる。
クロ君は、目を閉じて、あっ、あっとかわいい声を出す。
クロ、クロと名前を連呼しながら、突き上げるように腰を振るシロ。
「ダメ、感じる、シロさん……」
クロ君の、か細い声。
シロは、クロ君の口を唇で封じ込めて腰を振り続ける。
塞いだ唇の隙間から、うー、うーと声が漏れる。
クロ君の小さいオチンチンがゆらゆらと揺れる。
シロは、それを握ると無造作にしごき出した。
「あっ、だめ……シロさん、気持ちいいです……」
すっ、すごい。
シロったら、こんなエッチするんだ。
僕もなんだから体が熱くなってきた。
だめだ。
僕だって気持ちよくなりたいんだ。
我慢できない。
こっそりと茂みに入りしゃがみ込むと、ズボンとパンツを下ろした。
だって、クロ君。あんなに気持ち良さそうなんだもん。
僕は、自分の指をしゃぶり唾液をたっぷりとつけると、アナルへ差し込む。
お尻の中の気持ちのいいところに触れる。
体にビクンと電気が走る。
あっ、気持ちいい。
シロもクロ君も、気持ち良さそうな顔をしている。
シロの腰の動きに合わせて、指を出し入れさせる。
ああ、雅樹。もっとして……。
下半身が熱い。
じんじんしてくる。
だめ、いきそう……。
クロ君は、体を反らせて口が半開きになる。
いきそうな表情。
クロ君、僕も一緒にいっていい?
「シロさん、いく、あーっ!」
「はぁ、はぁ、クロ、でる!」
そして、二人のいく声。
僕も、体をビクン、ビクンとさせて絶頂を迎えた……。
膝をつく。
余韻で体に力が入らない。
ああ、気持ち良かった。
ふう。
ああ、やっぱり……。
僕のペニスからは、いやらしい汁が糸を引いて垂れていた。
ふぅ、さて帰ろうか。
僕は、パンツとズボンを上げて身なりを整えた。
シロはどうしているかな?
と思ってシロとクロ君を見る。
えっ? 嘘でしょ?
今度は、クロ君を四つん這いにさせて後ろから挿入。
シロ、今出したばかりでしょ……。
こんなにすぐに元気になるなんて。
シロは、激しく腰を振り、クロ君の名前を繰り返す。
クロ君も、シロの名前を呼びながら、幸せそうな喘ぎ声。
ふふふ。
そうだよね。
久しぶりなんだもんね。
僕は、微笑みながらため息をつく。
お楽しみはまだまだ続きそうだから、置いて行くか。
道は分かっているし、帰ってこれるでしょう。
僕は、茂みからそっと出るとシロに声をかけた。
「シロー、先に帰るからね」
「にゃー」
えっ? 分かったから、邪魔するなって?
まったく、シロったら。
くすっ。
さてと、帰りますか。
僕は、自転車にまたがりペダルを漕ぎ出した。
帰りの途中、せっかくだからムーランルージュへ寄ろうと思い立った。
自転車を止めてムーランルージュに入る。
すると、期待した通り、ヒトミさんの姿があった。
今日のタカシさんとの件を話そう。
ヒトミさん、タカシさんはヒトミさんの事愛しています。
そして、きっとタカシさんは近いうちにムーランルージュに来ます。
ヒトミさんに愛の告白する為に。
だから、心配しなくて大丈夫です。
もう少しだけタカシさんが勇気を出すのを信じて待って下さい。
そんな事を言おうと思っているうちに、つい別の話で盛り上がってしまった……。
先日、ヒトミさんが引き受けたというコスプレ衣装の依頼。
製作談義に花が咲く。
「えー、そうなんですか? 大変ですね」
「そうなの。コスって結構ディテールにこだわって作らないといけなくて。すぐ、クレームが来るのよ」
「クスクス。じゃあ、深夜アニメはしっかりと見ないとですね」
「そうなの。結構、しんどいから。睡眠時間とれないよー、死ぬー、バタ!」
ヒトミさんは、白目を向く振りをする。
「あはは」
僕は、大笑いをした。
ヒトミさんの格好は、大人風のエレガントなドレスで、可憐でお淑やかなお姉さん。
メイクは、パッチリ目を活かした猫メイク。
甘えて来られたら、年上の男性だったら間違いなく守ってあげたくなっちゃうだろう。
さすが、ムーランルージュのトップキャストのひとり。
なのに、ファッションの話になると途端に素のヒトミさんが現れる。
さっぱりとして、明るくて、コミカル。
そのギャップが、なんだかドキドキする。
それにしても、ヒトミさんの話は面白くてついつい引き込まれてしまう。
僕が、どのアニメが人気なのか質問したところでヒトミさんを呼ぶ声が掛かった。
「ヒトミさーん、ご指名ですよー」
マネージャーのユミさんからの指示。
「はーい。じゃあ、行ってくるね、めぐむ」
「はい」
ヒトミさんは、お仕事モードの表情にスッと変わる。
何処からどう見ても、美しい女性。
ヒトミさんが言っていた完璧な女装が、そこにあった。
僕は、横顔を見ているだけで、ドキドキしてくる。
その時、ホールから引き上げてきた他のキャストさんの声が聞こえて来た。
「あのお客さん久しぶりじゃない? ほらデザイナーのスカウトマンの」
ヒトミさんは小さく驚きの声を上げた。
「えっ! タカシさん?」
みるみるうちに顔が紅潮してくる。
平然としているように取り繕っているけど、僕には分かる。
ファニーファクトリーでタカシさんを迎えた時とはまるで別人。
ヒトミさんの胸の高鳴りが、聞こえてきそう。
目が潤み、口元は微かに笑みを浮かべている。
恋する乙女そのもの。
かわいいです、ヒトミさん。
ヒトミさんを見ていると、僕はキュンキュンしちゃう。
ヒトミさんは、落ち着いた足取りでホールへ向かって行った。
僕は、内心ホッとしていた。
さっそく、来てくれたんだね。
ありがとう、タカシさん。
でも、ヒトミさんはずっと待っていたんだから。
タカシさんしっかりね!
僕は、しばらくの間、ソファに座っていた。
開店直後は慌しい。
ユミさんの指示が飛び、キャストさん達が動き回る。
そんな中で、僕は待機中のキャストさんの話し相手になっていた。
しばらく経った。
ヒトミさんは、まだ戻ってこない。
うん。大丈夫。
僕は時計を見た。
さすがにタカシさんはもう告白したよね。
ようやく、ヒトミさんの恋が実るんだ。
僕は胸のドキドキを抑えながら立ち上がった。
「ユミさん、僕はこれで失礼します」
「あれ? ヒトミさんを待っているんじゃないの?」
ユミさんは、僕がヒトミさんを待って事に気がついていたみたいだ。
「いえ、いいんです。大丈夫みたいなので」
「大丈夫? よくわからないけど、お疲れ様。気をつけてね」
「はい! 失礼します」
僕は、ムーランルージュを後にした。
僕は、自転車を漕ぎながら物思いにふける。
これでヒトミさんは、幸せになれる。
ずっと待ち望んでいた意中の人との恋、そして将来の夢。
だから、僕は応援したい。
そう思う一方で、同時に少し寂しい気持ちが僕を襲う。
もう、ヒトミさんとは会えないかもしれない。
そんな予感がしたからだ……。
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