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3-09-1 オカルト研究会の謎(1)

「まったく世話がやけるな。ほら、雅樹とめぐむ。一緒にこの謎解いてきてよ!」 ジュンが言った。 ジュンはまだ、僕と雅樹が喧嘩をしていると思っているのだ。 僕と雅樹は、顔を見合わせて微笑んだ。 ジュンは僕の耳元で囁く。 「これで、仲直りできるといいね」 「ありがとう、ジュン」 ジュンの気遣いが嬉しい。 僕はジュンにウインクした。 「ところで、この謎、オカルト研究会で代々受け継がれている謎なんだけど……」 ジュンは説明を始めた。 ジュンは数字が書かれたカードを差し出す。 「この暗号文の数字。難しくてどうしても解けないんだ」 僕は差し出されたカードを見る。 『1089269072』 十桁の数字。 「ジュン、これって電話番号じゃない?」 僕はジュンに尋ねた。 「うん、最初はボクもそう思ったんだ。でも、市街局番が108って変じゃない? スマホでもないし」 「確かにそうだな。電話番号は違うか」 雅樹も同じ事を考えていたようだ。 ジュンは、思い出したように、ポンっと手を叩く。 「そうだ、それでね。実はずっと気になっていることがあって」 「うん」 「校庭の隅に体育倉庫があるでしょ?」 「うん」 僕は場所はどこだったかな? と想像しながら相槌を打つ。 「あそこにオカルト研究会の札がついたロッカーがあるんだ」 「へぇ。でも体育倉庫にオカルト研究会っておかしくないか?」 雅樹が言う。 「そう思うでしょ?」 ジュンは、それ! と言わんばかりに人差し指を立てる。 雅樹は腕組みをして目を瞑る。 「代々受け継がれた謎。そして、不自然な場所にあるロッカーか。こりゃ、何か関係がありそうだな」 雅樹が言った。 ジュンはウンウンと頷く。 そして、僕と雅樹の肩をポンっと叩いた。 「と言うわけだから、頼んだよ、二人とも!」 放課後、僕と雅樹はさっそくカードを持って体育倉庫へ向かった。 普段、運動部じゃないとなかなか来ることはない。 体育倉庫の前まで来て、僕は雅樹に話し掛けた。 「雅樹。僕、ここに来るの初めてかも」 「俺も、ほどんど来たことないな」 バスケ部も体育館がメインだからそうなのかも。 雅樹が力を入れてぐっと扉を押す。 ガガガという音とともに、扉が開いた。 僕達は、そのまま体育倉庫の中に入る。 「意外と綺麗なんだね」 見回すと、空気がすこし粉っぽい。 高いところに窓が有って、そこから日の光が差し込んでいる。 「いったん閉めておこうか?」 「うん。誰か来ると困るしね」 問題のロッカーはすぐに見つかった。 部活固有の道具を入れるロッカーのようで、各運動部の札が掲げてある。 その中の「オカルト研究会」の札。 確かに違和感があるし、なんか異様だ。 「ねぇ、雅樹。鍵がかかっているよ。南京錠みたい」 「どれどれ?」 雅樹が鍵を確認する。 「四桁の数字か」 「うん」 僕はカードをポケットから取り出す。 カードの数字を見ながら、いくつか試す。 「『1089269072』だから、1089。違うか、9072は? これも駄目か」 これは簡単には解けそうもない。 僕は腕組みをしながら、考えを巡らせる。 雅樹もぶつぶつ言いながら、うろうろ歩き始めた。 十桁の数字。 数字の足したり引いたりはあるか? そんな複雑にしたら誰も解けなくなるはず。 代々受け継がれてきた、ということはオカルト研究会に関係する何かなのか。 そうだとしたら、もっと情報が必要になる。 うーん。 「ぜんぜん駄目だ。雅樹、なんか思いついた?」 「考え中。十桁の数字を五十音順に並べる、とかだと思ったんだけどな。違うみたいだ」 「なるほど、いったん言葉に直すか」 数字を言葉にね。 あっ。 そういえば……。 この間、テレビ番組で見たことを思いだす。 昔、ポケベルというのがあって、ゴロ合わせで、コミュニケーションをしていたらしい。 よし。 少しやってみよう! 108だから、イオヤ……トワ……ちがうな。 うーん。 違うようだ。 思考が行き詰った。 マットの上に座り込む。 雅樹がボソボソいっているのが聞こえた。 「ヒャクハチジュウキュウマン いや桁がちがうな、ジュウオクハッセン……」 えっ? 僕は、ピンときた。 ヒャクハチ。しゃくはち。 隠語。 もしかして、隠語の組み合わせなのでは? そうすると、108、92、69、072に分けて、 108は尺八、つまりフェラ。 92はクンニ、69はシックスナイン、 072はオナニー。 間違いない。 これだ。 「わかったよ、雅樹!」 「本当か?」 僕は説明をした。 雅樹は、うんうんと頷き、なるほど、間違いない。と手を叩いた。 「さすが、めぐむだな。エッチなことに関しては天才的だ。ははは」 「なっ、なに言っているの、雅樹。雅樹がぼそぼそ言っていたんじゃん」 僕はしどろもどろに答える。 「えっ? なんのことだ?」 「まぁ、いいじゃん。二人で解いたってことで」 「ははは。そういうことにしておいてやるよ。照れちゃって可愛い」 僕は恥ずかしくて下を向く。 「それにしても、この後はどう解くんだろう?」 「うん、そうだね」 また、行き詰った。 たしかに、四つの隠語の組み合わせ。 南京錠は四桁。 そうすると、ひとつの隠語にひとつの数字が隠されている、ということになる。 そこまではわかった。 「なぁ、めぐむ。」 「なに?」 「考えていても埒が明かない。ひとつづつ試してみないか?」 「えっ?」 「だから、やってみればわかるかもしれないだろ」 「やってみるって言ったって……」 「最初は108だから、フェラだろ。フェラするのに、ちょうどいい高さで座れるところは、っと」 雅樹は辺りを見回す。 「よし、ここだな」と言うと、平均台の上に座った。 そして、ズボンとパンツをサッと脱ぎ、ペニスをあらわにする。 僕はビックリしてすぐに目を背ける。 「ちょっと、雅樹!」 チラっと横目で見る。 雅樹のペニス。 久しぶりに見た。 ドキドキしてくる。 正直に言うと、もっと間近で見たいし触りたい。 顔が火照ってくるのが分かる。 「じゃ、めぐむ。フェラをたのむ!」 「もう、しょうがないなぁ」 僕は、仕方ないふりをして雅樹の前にしゃがみ込む。 頭をもたげて、まだ元気にはなっていない。 「ペニス君、久しぶりだね。すこし舐めさせてね」 チュッと先端のところにキスをすると、いいよ、と言わんばかりにビクンと反応する。 かわいい。 僕は、さっそく竿を握ると、先端から根元にかけてペロペロと舐め始める。 ぴちゃぴちゃ、といやらしい音。 唾液でペニス全体がテカテカと輝いて見える。 あっという間に固く大きくなった。 「うぅ、めぐむ。久しぶりだから、直ぐ出ちゃうかも」 「いいよ。出しちゃって」 僕ははむっと咥えると、優しく上下に口を動かす。 口の中では舌の腹で先端の部分を舐めまわす。 「うぅ。イキそうだ……」 さっきから、ビクッ、ビクッ、っと痙攣し始めている。 僕は両手で竿をしごきながら、頭を激しく上下させる。 「あぁ。でる!」 雅樹はそう言うと、僕の頭を押さえ、ドクッっと口の中に精液を発射した。 そして、しばらく、ドクン、ドクンと精液を放出し続けた。 すごい量……。 口の中が精液で溢れる。 ゴホッ、ゴホッ。 僕は堪りかねて咳き込んだ。 「めぐむ、済まない。たくさんでちゃった……」 僕は口を拭いながら言った。 「ううん。いいよ。雅樹が気持ちよくなってくれたんなら、嬉しいから」 僕は、ふと平均台の脚の部分を見た。 「あれ?」 なにか不自然なところに、シールが貼ってある。 「雅樹、これ見てよ」 「ん? どうした?」 雅樹も平均台を降りて、僕が指を差した先を目を見た。 『6』とゴシック調のフォントで印刷されたシールが貼ってある。 「もしかして、これかな?」 僕がそう雅樹に言うと、雅樹は、 「まちがいない。やっぱり、『フェラをする』で正解だったんだ!」 と言って、グーサインをした。

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