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3-10-3 翔馬の別荘 (3)
しばらくの間、和気あいあいトランプを楽しんだ。
ふと時計を見たジュンが、
「そろそろ、寝ない?」
と言って伸びをした。
「そうだな。寝るか」と、雅樹が同意し、翔馬と僕も頷いた。
僕達は、トランプを片付けて歯磨きを始める。
鏡に映る雅樹を見た。
平然としている。
なんとも思っていないようだ。
なんだよ雅樹は!
僕はなんだか、腹が立ってきた。
せっかく、雅樹と一夜を共にできると思ったのに……。
「じゃあ、俺ら行くね」
雅樹とジュンは、お休みを言うと、部屋に向かっていった。
「じゃあ、俺たちも行くか」
翔馬は僕に肩を組んでくる。
いつもの事なんだけど……。
トクン……。
あれ? まただ。
一体どうして……。
寝室の扉の前まで来た。
僕が扉を開けようとドアノブを掴んだ時、翔馬は「ちょっとまって!」といって、両手を壁に押しあて僕を取り囲んだ。
僕は、びっくりして翔馬の顔を見る。
もしかして、これって、迫られている?
翔馬の唇を見る。
だめ……。
でも、強引にされたら。
きっと抗えない。
「なぁ、めぐむ」
「なっ、なに? 翔馬」
「ちょっと、こっち来て……」
そう言うと、僕の手首をがしっと掴んだ。
「えっ……なに?」
「いいから、こいって!」
なに?
この強引な感じ。
そういえば、別の部屋があるんだっけ。
もしかして、その部屋って、そういうことをする部屋?
雅樹たちの寝室の前を通る。
声を出して助けを呼ぼうか?
でも、そんなことできそうもない。
「さあ、ここ、入って」
雅樹は扉を少し開ける。
もう逃げられない。
雅樹、ごめんね。
僕はそのまま、扉を押した。
そして中に入る。
暗い部屋。
翔馬がライトのスイッチをパチリと入れた。
あっ、これって!?
「どう? めぐむ。これ、父さんのコレクション」
「すごい!」
部屋、いっぱいの本。
本棚に本がみっちりと収まっている。
僕は中に入って、どんな本があるのか、確かめる。
へぇ。
推理小説が多い。
名作も多数置かれている。
やばい。
テンションが上がる。
いつの間にか、さきほどのドキドキとは違うドキドキに変わっていた。
あぁ。
本の独特なにおい。
こころが休まる……。
「なぁ、めぐむ。寝る前に本読むだろ? もっていっていいぜ」
「ほんと?」
じつは、もう読みたい本は決めていた。
数年前に読んだことがある本。
推理小説。
タイトルを見たら、もう一度読みたくなってしまったのだ。
「俺さ、今、中国物にはまっててさ。確か、めぐむ、中国って得意だろ?」
翔馬の顔は、歴史好きの顔に変わっている。
「え? どのへん? 僕にわかるかな」
「春秋戦国あたり」
「へぇ、僕が好きなところだ。結構読んだよ」
「やっぱり、さすが、めぐむだ。俺が今読んでるのはさ……」
やばい。楽しい。
翔馬も楽しそうだ。
僕は、推理小説を手にとると、「僕は決めたよ」と言った。
翔馬も、すでに本を持っている。
「いこっか」
僕と翔馬は、寝室に向かった。
翔馬と同じベッドに入る。
なんか、不思議な感じ。
二人、本を手にしている。
上掛け一枚。
少し近づくと、温もりを感じる。
突然、翔馬が話かけてきた。
「俺さ、本好きの友達っていないんだよね」
僕は黙って聞いている。
「だから、めぐむと友達になれて、まじでうれしいよ」
「でも、歴史ものだけなんでしょ? 僕は広く浅くだから、翔馬の話相手には役不足かも」
「いやいや、そんなことないって」
「ふふふ。それならいいけど」
これまで、翔馬とは幕末物の話で盛り上がったことがある。
幕末は定番だけど、一歩踏み込んだトークができるのは、僕にとっても翔馬だけ。
だから、翔馬と歴史小説の話をするのは楽しみの一つなのだ。
翔馬は言った。
「ところで、俺は、ちょっと前まで真田幸村関連を読み漁っていたんだ」
「そうなんだ。僕も、結構読んだよ。僕は、お兄さんの信幸も好き」
「おぉー、わかるわかる。幸村と敵味方でな」
「そうそう、家を守る戦いをするんだよね」
「やばい、めぐむと話しているとテンションが上がってくるぜ!」
翔馬は、目を輝かせて話し出す。
翔馬は、スポーツマンで、歴史好きで、カッコよくて、モテる。すごいな。
しばらくして、翔馬が言った。
「なんかさ、俺、モテないんだよね……」
「え? そんなことないよ」
「クラスの女子とかに微妙に避けられているっていうか……」
あ、それは、見守り隊だ。
僕はのどまで出かかって止める。
告げ口がバレたら、大変なことになるような気がしたからだ。
別に僕は見守り隊じゃないんだけど……。
「あーあ、黒川さんと話ししたいな……」
僕は、しばらく考えていた。
翔馬が可愛そう。
きっと、黒川さんは見守り隊に入っている。
だから、翔馬との接触を避けているんだ。
そうじゃなかったら、こんなカッコいい翔馬を好きならないわけがない。
でも、見守り隊だって、そのうちに変わっていくだろう。
だって、こんなに翔馬が悲しんでいるんだ。
理解してくれる人が現れるはず。
「翔馬、大丈夫。きっと、そのうちうまくいくよ!」
僕はそう言うと、翔馬の方に向き直した。
スースー。
翔馬は既に寝息をたてている。
クスッ。
僕は微笑んだ。
髪の毛を撫でたくなる。
でも、これは僕の役目じゃないな。
枕元のライトだけで照らされた天井を見上げる。
雅樹はもう寝たかな。
そんなことを思った。
しばらくして、僕はあくびをした。
時間を見る。
あぁ、もうそろそろ寝よう。
そう思って、枕元に読んでいた本を置き、ライトを消そうと思った。
そのとき。
僕は、だれかに掴まれた。
翔馬だ。
「うーん。黒川さん。むにゃむにゃ」
寝相が悪いな、と思った瞬間、突然、翔馬は僕のことを自分の胸にぎゅっと押し付けた。
僕は、声を上げそうになったけど、寝ぼけているんだと思い、そっと腕を振りほどこうとした。
あったかい。人肌の温もり。
トクン……。
翔馬はいつの間に、寝巻のTシャツを脱いで裸。しかも、たぶん、スウェットの下も脱いでいる。
筋肉で硬い胸。
僕はテニスで見た腹筋に触れる。
太い腕。
脚に触れてわかる、太く筋肉質の太もも。
ドキドキ、心臓の音がする。
やめて……。
声を出したつもりだけど、声がでない。
いつの間にか、翔馬は目を開けている。
そして、僕を見ると、「黒川さん!」と言って抱き付いてきた。
えっ!?
ちがうよ。僕はめぐむだよ!
でも、声がでない。
「大丈夫、俺に任せておいて……」
そう言うと、いきなり僕の唇にキスをしてきた。
んっ、んっ、ん……。
ぷはっ、はぁ、はぁ。
やめて……翔馬。
僕は黒川さんじゃないよ……。
翔馬は、お構いなしに僕のシャツを捲ると、乳首にキスをする。
もう一方の乳首は指先でなでる。
ちゅぱ、ちゅぱ……。
あっ、あん。やめてっ……そんな事したら、僕感じちゃうよ……。
「俺の、なめてよ」
いつの間にか、翔馬はパンツを脱いでいる。
あぁ。
お風呂で見た翔馬のペニス。
こんなになるんだ。
おっきい……。
僕は無理矢理、ペニスに顔を押し付けられ、そして咥えさせられる。
おっきい、おっきいよ。
頭を抑えられて、僕はちゅっぱ、ちゅっぱと愛撫を始める。
「気持ちいいよ……」
「んー、んー!」
僕は苦しくて、息を荒げながらペニスから口を離した。
いやらしく、唾が糸を引く。
はぁ、はぁ……。
口から涎が垂れる。
僕はうつ伏せでベットに押し付けられた。
「いれるよ。お前」
そんな、奥さんみたいな呼び方。
僕のアナルにズズっと、太い翔馬のペニスが挿入される。
あぁ……そんな……。
僕は、奥さんじゃないのに。
僕を犯さないで。
あっ、あっ、あっ……。
「なぁ、なぁ」
ゆらさないで。いま、いきそうなんだから。
「なぁ、おきろよ」
だから、ゆらさないで。
「めぐむ。おきろったら。もう朝だぞ!」
え?
僕は目を開ける。
目の前に、翔馬の顔。
「あれ。いつの間に服を着たの?」
「寝ぼけてるな。服を着たもなにも、そもそも服脱いでないぜ」
翔馬は、不思議そうな顔をしている。
あぁ。
完全に夢だ……。
いつからだろう。最初から?
「先にいってるぞ、めぐむ」
そう言うと、翔馬はあくびをしながら部屋を出ていった。
「つめたっ」
ペニスの先から垂れたおつゆで、パンツを濡らしてしまったようだ。
はぁ……。
よかった……雅樹に替えのパンツを貸さないでおいて……。
朝ごはんは、トーストに卵焼きにベーコン、そしてサラダ。
僕達は、テラスで食事をとり、そのままくつろぐことにした。
僕は、食後のコーヒーを飲みながらぼぉっとしていた。
はぁ……。
どうして、翔馬とエッチする夢なんか……。
「あれ、シカじゃない?」ジュンが叫ぶ。
「ほんとか?」翔馬が目を細めている。
「ちょっとみてくるよ」翔馬が言った。
雅樹が手を挙げてオーケーサインを出した。
ジュンと翔馬は林の中に入っていく。
そんな二人を見送り、雅樹は僕の横に座った。
「どうした、めぐむ? 元気ないな。よく寝れなかった?」
「うん。なんか、翔馬のことなんだけど……」
さすがに、翔馬とエッチした夢を見た、とは言えない。
「あぁ。もしかして、ときめいた? 翔馬に」
「うん。まぁ、そんな感じかな」
「やっぱりな」
「え? どうゆうこと?」
「あいつ、天然のもてキャラなんだよ。近くにいる女はみんな惚れちゃうみたいな」
「へ?」
「そうゆうフェロモンが出てるんだと思う。本人は全く気づいてないみたいだけど」
「フェロモン……たしかに、魔法にかかったような……そうかも」
雅樹は、寒いから中に入らないか? と言った。
僕は頷く。
雅樹と僕はリビングに入りソファにもたれかかった。
「雅樹は心配じゃなかった? 僕と翔馬が一緒で」
「まぁ、信じているからな。翔馬からめぐむを襲うことはないことはわかってるし」
「そっ、そうだよね……」
あぶない……。
下手したら、僕が翔馬を襲っていた、なんて可能性がなかったとは言えない。
そう思って、ぶるっと体を震わす。
「それより、こっちはさ。いろいろ聞いたぞ」
雅樹は言った。
「ジュンってもう片桐先生と付き合ってるのな」
「えっ? ほんと? 僕はジュンから何も聞いてないよ……」
「片桐先生とエッチも済ませてるんだって。ラブラブだよ」
「そうなんだ。どうして、僕に言ってくれないんだろ……」
「それは、そうだよ」
「どうして?」
「だって、めぐむは一人身ってことになっているんだろ?」
「うん」
「だったら、うまくいってる話はしづらいって。ジュンのやさしさだと思うぞ」
「なるほど。たしかに……」
「俺は、彼女がいるってことになっているわけだしな。話しやすかったんだろう」
でも、やっぱり、すこし寂しい。
そのとき、雅樹のスマホに翔馬から連絡が入る。
『ごめん、あと30分ぐらい探してから戻る。のんびりしてて』
僕と雅樹は顔を見合わす。
「じゃあ、しちゃおっか?」
雅樹が言う。
「うん!」
僕はそう答えると、間髪入れず雅樹の唇に吸い付く。
んっ、んっ、んん……。
僕は舌をからませながら、雅樹のペニスをまさぐる。
固くなっている。
あぁ、早く雅樹のが欲しい。
雅樹だって、フェロモンでてるよ。きっと!
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