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3-13-2 記念日のプレゼント(2)

「せっかく、矢追まで来たんだから、ちょっと散策しない?」 雅樹が提案した。 「そうしよう! ちょっと小腹もすいたし」 僕は、お腹を触る。 「そうだ、商店街で焼きトウモロコシ売っていたよな?」 「あぁ、いい。焼きトウモロコシ食べよう!」 僕は手を挙げて賛成した。 商店街に戻ってきて焼きトウモロコシ買った。 食欲を誘ういい匂い。 食べる所を探して、矢追公園にやってきた。 「結局、ここに来ちゃったね。さぁ、食べようか?」 「うん」 僕達は、焼きトウモロコシを食べ始める。 「美味しい!」 僕は頬張りながら言った。 「やばい。うまい!」 雅樹はガッツいてかじり出す。 僕は半分ぐらい食べたところで、お腹がいっぱいになった。 もったいないけど、残すことにした。 口の周りを紙ナプキンで拭く。 「あっ、そうだ。雅樹」 「なに?」 「さっきのお店で、操作がどうのこうの言っていたんだけど、どういう意味だろう?」 「ぶっ! 急にそういうこと言うなよ」 雅樹の口から、トウモロコシの粒がポロリと落ちた。 「あっ、汚い!」 僕は大袈裟に指摘をする。 「だって、めぐむが急に変なこと言うからだろ?」 「変なのかな?」 よく分からない。 「これってさ、リモコンになっていて、それを操作するわけ」 「うん。それはわかる。それのどこが変なの?」 「ほら、これって遠くからでも操作できるんだよ」 「へぇ」 いまいち言わんとしていることが分からない。 「つまりさ、例えば、いま、めぐむがこれを付けるとする」 「うん」 「俺が遠くから、スイッチを入れてさ、人前でめぐむが感じるところを見れる。ってわけ」 「えっ? これって外で使うもの?」 「いやいや、例えば、そんな使い方ができるってことさ」 「へぇ。いやらしいね」 「あぁ、とびっきりいやらしい……」 僕は、もう興味を失い、次はスイーツの店に行こう! と提案しようと思っていた。 和の団子もいいけど、やっぱり旬のイチゴを使ったスイーツも捨てがたい。 でも、雅樹はまた同じ事を言った。 「これはさ、いやらしいんだよ。うん」 僕は、目を細めて雅樹をじぃーっと見つめる。 「なっ、なんだよ、めぐむ。ジロジロ見てさ!」 雅樹はたじろぐ。 「雅樹! もしかして、最初から僕にそうやって使おうとしてたんじゃないでしょうね?」 「えっ、えっ、何のこと?」 「しらじらしい!」 「ごめん……実は、そうなんだ。外でも使ってみたいなぁって。でも、めぐむの一人エッチ用は本当さ。あと、二人のエッチの時でも乳首に宛がうと気持ちいいって、書き込みがあったしさ」 「やっぱりね」 雅樹はすまなそうな顔をした。 もう、雅樹は。 「いいよ、雅樹。せっかくの誕生日のプレゼントなんだから。雅樹の使いたいようにして」 「本当か?」 「でも、僕のお願いも聞いてよ」 「なに?」 「イチゴパフェを食べに行きたい!」 「よし、わかった。じゃあ、これを装着してから、食べにいこうよ」 「やった!」 雅樹は喜々として、ローターの箱を開け始める。 「おっ、電池あるんだ。やった!」 まるで、おもちゃを買ってもらった子供のようだ。 僕は、微笑みながら見守る。 「ねぇ、めぐむ。これ、お尻に入れてよ。こっちの箱はパンティの横に挟んで落ちないようにして」 雅樹は、公園のトイレを指差す。 「わかった。ちょっと待ってて」 僕はバッグに忍ばせて、トイレに駆け込んだ。 個室に入り、ささっとアナルにローターを押し込む。 異物感。 でも、そんなには大きくないので、慣れてしまえば気にはならなくなりそう。 ほんとうにこんなので、気持ちよくなるのだろうか。 なるほど、小さい箱とケーブルでつながっている。 ここに電池が入っているのか。 僕は、腰のあたりでショーツにはさみ、落ちないように固定する。 スカートが腰のあたりでこんもりして違和感がある。 でも、今日はゆったり目のニットを着ているから誤魔化せそうだ。 僕は、雅樹のもとに戻った。 「雅樹、お待たせ」 「お帰り、めぐむ」 あっ。 急にアナルに刺激。 僕はびっくりして、しゃがみ込んだ。 じーっとする低い振動。じわっと刺激がやってくる。 「ちゃんと、スイッチが入ったかな? どう? 気持ちいい?」 「ちょ、ちょっと止めて……」 雅樹は、スイッチを切る。 ふぅ。 僕は立ち上がった。 「うーん。気持ちいいのかな? よく分からないけど、急にスイッチがはいると、びっくりする」 「そっか、じゃあ突然はやめておこう。スイッチを入れるとき、合図するね。そうだな、繋いだ手をぎゅっとしたら、スイッチを入れるね」 「うん。分かった」 まぁ、このくらいのいたずらなら、大丈夫そうだ。 これで、雅樹が満足するのなら……。 僕はそう思い、「さぁ、パフェを食べにいこう!」と雅樹の手を引いた。 駅前のデパートにやってきた。 僕達はレストラン街へ行き、スイーツのお店を探す。 ショーケースに入った美味しそうなイチゴパフェを発見。 「雅樹、ここにしよう!」 「オーケー」 僕達がお店に入ろうとした瞬間。 雅樹が僕の手をぎゅっと握った。 すると、じっーとアナルに刺激。 今度は、ちょっと身構える間があったから大丈夫。 「お客様は何名でしょうか?」 僕は指を二本立てて答える。 なるほど、じーっと刺激を受けると、少しづつ気持ちがよくなってくる。 きっと、肩こりや腰の疲れも、これをあてがえばいいかもしれない。 雅樹は、あれ?っとした風に僕の顔を見る。 僕が余裕にしているのが、雅樹はおかしいなぁ、と思っているようだ。 うんうん。 そんなに、雅樹の思ったようにはいかないんだ。 ふふふ。 案内された席に座る。 ビクン! あっ。 危なく、声が出そうになった。 やばい。 座ると、ちょうど、お尻の中の気持ちのいいところに丁度当たるんだ。 僕は少し腰を浮かす。 「雅樹、ちょっとまずいよ。座ると刺激が……」 「えっ? ほんと? よかった!」 「よくないよ! 僕、気持ちよくなっちゃうよ」 「うんうん。だって、これはもともとそういうものだから」 「意地悪!」 「ほら、店員さんくるよ」 さすがに店員さんにこの中途半端な格好を見せるのは変だ。 僕は、しかたなく、そっと座る。 すると、気持ちいいところに、じーっと容赦のない刺激。 うぐっ。 体が熱くなってくるのが分かる。 まずい。 こんなに、気持ちいいなんて……。 甘くみていた。 店員さんが僕達の横に立った。 「ご注文はお決まりでしょうか?」 「俺は、このチョコレートパフェ。めぐむは?」 知っているくせに! 意地悪! 「うっ……あの、えっと……あっ」 熱い。 体が震えてくる。 我慢しなきゃ。 でも……。 体がビクン、ビクンと痙攣する。 はぁ、はぁ。 僕は雅樹に視線を送る。 だめ、雅樹……お願い、助けて。 店員さんは、そんな僕の様子を訝しむ。 「あのー、お客様。お加減でも?」 だめ……いきそう。 雅樹は、ちょうどスイッチを止めた。 はぁ、はぁ……。 危なかった。 「えっと、大丈夫です。はぁ、はぁ、あの、イチゴパフェをお願いします」 店員さんは、注文を復唱してキッチンの方へ戻っていった。 僕は店員さんを見送り、その目で雅樹を睨む。 「雅樹! もう、早く止めてよ! 危なかったじゃない!」 「あはは。ごめん、ごめん。めぐむが一生懸命に堪えている表情が余りにも可愛くて。見惚れてしまって」 「もう、変な言い訳!」 「可愛いよ、めぐむ。俺のめぐむ……」 「ちょ、ちょっと! そんな事言っても誤魔化されないんだからね!」 僕は、ぷぅーっと頬を膨らませた。 「ははは、そんな可愛い顔すると食べっちゃうぞ!」 意地悪な雅樹。 僕は、怒って壁を築く。 でも、雅樹の笑顔で、あっという間に崩れてしまう。 溜息……。 やっぱり、僕は雅樹のことが大好きなんだ。 本当に、仕方ないな……。 とはいえ、これは釘を刺しておかなきゃ。 「雅樹! 次、スイッチをいれたら、本当に怒るからね!」 「わかったよ。もうスイッチ入れない。しばらくは……」 「えっ? しばらくは?」 まったく、雅樹は意地悪なんだから!

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