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第4話

 会いたいな、早く。陳腐なラブソングが3曲くらい作れそうだった。作曲は桐島の鼓動で。  今日の桐島はゴミ捨て場近くの納屋から広い景色を見ていた。グラウンドが北側にあってかなり低地にある。それから周りは山々。高低差が激しい土地だから眺めはいい。生憎の曇りでもなんだが風情がある。桐島は納屋を囲む3段くらいのブロック塀に座っていた。明らかに元気が無かった。あの小難しい文庫本もなかった。桐島は僕を見てもぼんやりしてまた遠くの山を見ているだけで、僕が隣に座っても何の反応もない。 「真樹ち?」  ここは人目がある。グラウンドでは別の学科の人たちが野球をしていた。テニスコートも使われている。でも桐島は山よりもっと遠くを見て、僕はその横顔を見つめた。睫毛長くて鼻が綺麗な形していた。 「佐伯から、」  キスしたいなって思ってたちょっと厚い唇が動いた。達央のことを桐島から話し出すなんて思わなくて一瞬誰の話かと思った。 「達央?達央が、何?」  食い気味になったのが間違いだったか桐島は俯いて黙った。それで首を振った。何でも無いとばかりに。僕は待ってた。桐島が何か言うのを。そのうちぱらぱらっと頬っぺたが濡れた。雨だ。降らないと思っていたけれど僕の読みは外れ。天気予報は見てないし調べてない。 「雨だよ、真樹ち。どっか入ろ」  聞いちゃいなかった。桐島の肩を掴んで引っ張る。絶対風邪ひくタイプだよ、桐島。 「真樹ち~」  動こうとしなかった。抜け殻みたいだった。僕は傘を持ってこようと思ってロッカー棟に走った。置き傘があったはずだ。雨脚は強まって僕は走った。置き傘はあった。でも途中で達央とそのカノジョが雨宿りしているのが見えて置き傘を貸した。ごめんね、桐島。雨に濡れちゃうね。 「成瀬は?成瀬が濡れるだろ」  僕は忙しそうなふりをした。カノジョはやっぱり地味でお世辞にも可愛いとは言えなかった。他人のカレカノ事情なんて僕には関係ないし付き合うの僕じゃないし親友のカノジョなのに、ここまで達央(カレシ)の見た目や雰囲気とギャップのあるカノジョだとちょっとうんざりしちゃう。髪ケアして毛先巻くなり染めるなりして、化粧は素顔分からないくらいばっちりして欲しいな。達央もそう思ってると思うけれど、優しいから言わないのかな。桐島のこと好きだったんじゃないのかよ。何達央にコクられて合意(オーケー)してんの。達央にコクられて夢みちゃった?自分にそういう価値があるって思い込んじゃった?人気者で有名人の達央にコクられたら、桐島のことなんかすっぱり諦めちゃった? 「僕すぐ中入るからさ」  僕のこと見つめてくる地味な女に苦笑いを浮かべてまだ躊躇ってる達央の手を折り畳み傘ごと押し返した。 「成瀬…」 「いいから、いいから」  もう雨音するくらい強い。悪いな、って聞こえたけど僕はもう駆け出していた。早く戻らないと。傘無いけど。桐島が濡れちゃう。傘無いけど。屋内に連れ込むことはできるわけで。ゴミ捨て場近くの納屋に急いで、僕はブロックに座ってる桐島に謝った。傘なかったって。でもそこに桐島の姿はなかった。どこか建物の中に入ったかな。屋根のあるところとか。天気で落ち込んじゃうんだな。デリケートっぽいもんな。もう僕はずぶ濡れで少し寒かった。学生会館の空調の前に居ればすぐ乾くな。桐島がちゃんと雨宿りしてるか気にはなったけれど僕は学生会館の空調前で服を乾かした。頭にふわっと何か掛けられて視界が閉ざされる。ちょっと濡れたタオルからは桐島の匂いがした。でも学生会館を見回しても僕が気付くの遅かったみたいで桐島の姿は見つからなかった。タオルの乾いたところはまだ桐島の洗剤の匂いが残っててちんこが硬くなった。また桐島のちんこ舐めたくなった。エッチな匂いがするタオルで身体を拭く。新しいタオル買いに行くって口実でデート誘えるな。畳んで顔を埋める。桐島の匂いが肺いっぱいに据えた。ちんこがバキバキになっちゃう。桐島がエッチなことに気付く前ならその辺の女の子に声掛けてヤリサーみたいにあっちこっちでサカった犬とか猫みたいに交尾しちゃったけれど、もうこの熱は桐島が相手してくれないと治まらない。タオルに突っ伏して空調の前で乾燥された。抜きたい。桐島のぽてぽての唇に僕のちんこペチペチしたい。まだ雨が降っていたけれどそろそろ帰ろうかなって学生会館を出た時に長く突き出てる軒下に桐島の姿があった。雨をずっと見ていて、そのまま雨みたいに消えて溶けて水溜りになっちゃいそうだった。 「真樹ち」 「タオルはやる。使わなかったら捨ててくれていい…」  桐島は中途半端に振り返って横顔にもなりきらないところで止まった。逆光していて桐島の輪郭が光って消えちゃいそうだった。 「捨てない」 「…返さなくていいからな」 「うん。じゃあ返さない」 「そうしてくれ」  濡れてるし洗わないといけないのに洗ったら桐島の匂い消えちゃうよな。でも洗わないと臭くなるよな。でも洗うと…じゃなくて、ここはひとつデートに誘わないと。 「真樹ち、」  桐島の手には傘があった。僕が走る必要なんかなかったんじゃん。あわよくば相合傘しようと思ってたのにな。 「帰るなら使うか」  桐島が傘を持った手を差し出した。でも僕のことを見てくれない。 「そうじゃなくて!デートしよ。新しいタオル買い行こ」  差し出しれたままの桐島の腕を掴んだ。桐島は僕をやっと見た。もしかして良いのかなって思った。何の服着て行こうかな。どこのお店がいいかな。お金卸さないとな。シフト頑張った甲斐あったな。多分顔が緩んでた。 「断る」  短くあっさり僕はフられた。僕の腕の中から桐島の腕が抜かれた。桐島は数段の階段を降りて傘を開いた。僕の手の中にはタオルだけ残ってる。離れていく桐島を目で追っていた。彼はたった一度だけ、ほんの一瞬だけ僕を振り返ってバス停のある正門のほうへ吸い込まれていった。綺麗だった。写真に撮りたかったのに僕は見惚れてスマホのことなんか忘れていた。 ◇  今日も僕はオーロラみたいに反射するフィルムと可愛いリボンとキラキラのホログラムのシールでラッピングされたタオルを持ってあっちこっち探したけれど桐島は見つからなかった。いつもの席にも見当たらなかったし、この時間帯に居そうな場所でも見つからなかった。風邪ひいちゃって休んでるのかな。会えるまでタオル片手にしこしこする日が続くのかな。僕はふらふらと引き上げて裏会館の中に入った。今日こそ見つけて渡したかった。裏会館は比較的新しくてコモンスペースも社長の接待部屋みたいに綺麗だった。桐島はそこのソファーにいた。こんな近くにいたなんて。桐島は一度だけ僕を見たけれど冷めたカオをしてまた本を読んだ。もう僕のことなんてどうでもいいって感じだった。なんでそんな態度取るのさ。 「真樹ち、やっと見つけた」  桐島はまた僕を見た。でもすぐまた本に戻っちゃう。 「この前タオルもらったから、お返し…刺繍入れてもらったんだよ。M.Kって」  なんか桐島のクセに怖かった。桐島のクセに。僕は桐島の対面に座ってタオルを渡した。でも桐島は受け取ってくれなかった。僕を見ることもしない。栞を挟んで本を閉じてソファーから立ち上がる。 「悪いが、受け取れない」 「なんで?」  何も答えは返ってこない。靴音が響いた。僕は追った。 「真樹ち!なんでさ!」 「佐伯に………聞けよ」  達央の名前が出てきて僕は出て行く桐島を追った。なんで達央の名前出てくるの。達央の告白したの?どうして僕のプレゼント受け取ってくれないの。僕の荒々しい靴音に焦ることもない桐島の腕を掴む。なんで達央に聞かなきゃならないのさ。なんで?なんで達央に聞くのさ。達央は別に何も言ってなかった。桐島の名前なんて一切出てこなかった。この2人に何かあったとすれば桐島から仕掛けたに決まってる。だって達央にとって桐島はその他大勢なんだから。達央はひとりひとりに分け隔てなく優しいけれど、でも達央の特別はあの地味なカノジョと僕だけ。桐島なんて目に入ってない。桐島なんか。桐島のクセに。 「達央に何したのさ…?」  力任せに引っ張って向かい合った。プレゼントが床に落ちる。バイト代注ぎ込んでバカみたいに浮かれて店員さんに喋った。アホみたいに糸の色選んで、調子良いこと言いながら書体の相談して。でもなんかもうゴミみたいな物だ。桐島は答えなかった。僕から目を逸らすばっかりで答えてくれない。でももうその態度がよっぽどのことしたんだなって分かった。 「達央に何したんだよ!」  桐島なんかに訊いたって時間の無駄だ。もう桐島のことなんて見えなくなってスマホを出す。達央はしっかりしてるから大丈夫だと思うけど。弱さを見せないし、いつだってタフで、気配り上手だった。傷付いてたら可哀想だ。僕は傍にいて何にも気付がなかった。最低だ。親友失格だ。会える?って聞いたらすぐに会えるって返ってきた。学生会館で会おうって約束取り付けて電話を切った。僕は桐島を睨む。 「桐島も来る?」 「俺は…」  嫌だって感じだった。迷いながら顔を逸らして、待ってられなくて僕は学生会館に急いだ。なんか柔らかいものを踏んだけれど、もうどうでも良かった。  嘘情報掴まされたのかと思うほど達央はいつもどおりのケロっとしたカオでまるでドラマで見る商談みたいに学生会館のイスに座っていた。 「さっき会ったのに急に呼び出してごめんね!」 「いや。どうした?」  カオみたら焦りがちょっと和らいだ。 「桐島と何かあった?」 「無い」  達央は食い気味に答えた。目がちょっとだけ下を向いて、でも強く僕を射抜く。 「無いの?何も?」 「無い」 「…桐島が変な態度取るんだよ。何でって訊いたら、達央に訊けって…」  達央はまた「無いよ」って言った。達央は何か隠してるみたいだった。答えたくないんだ。それならこの質問は達央を困らせるだけだし、僕等の友情にヒビを入れるだけだ。 「そっか。なら良かった。もしかしてカノジョと一緒だった?」  嘘情報掴まされたのか、やっぱり。なんでさ。僕を撒くため?でも桐島にそんな芸当あるのかな。達央が首を振ったのだけ見て頭ではまったく違うことを考えていた。 「フられた」  達央はへらへら笑った。でも情けない感じではなくて、なんか人を近付けるための親近感みたいな優しい笑い方。 「フられたの?」 「言ってなかったな…情けなくて言えなかった」 「全然!タっちゃんが情けないなんて思わないっつの!そういうこともあるって!僕だってカノジョ歴なんか切った貼ったって感じだし!」  あの地味な女、調子乗りすぎでしょ。達央のことフったとか。達央とお近付きになっただけでもあんな地味な女にはありがたいことなのに。超人気者の有名人の達央にコクられたフったこと、自分の栄光みたいに言い触らすんだろうな、あの身の程知らず。桐島のことなんかすぐ忘れたクセに。勘違い甚だしいよ。だから地味でブスでデブな女って嫌い。 「いや……俺が悪いんだ。ありがとな。でも成瀬が自分のこと卑下する必要はないだろ?」 「タツオだって…卑屈になってんじゃん」 「だって本当に俺が悪い。カノジョを何より大事に出来なかった。誰にでも好いカオするのが信用ならなかったんだって」  達央はカノジョ以外の女の子にも優しい。当たり前じゃん、そんなの分かってたことだろ。 「成瀬。これからはたったひとりの親友のお前を何より大事にする」 「い、いいって!気にすんなよ、そんなこと!タっちゃんの好きなようにすりゃいいじゃん。僕は好きにやってるタっちゃんが好きなんだし、そういうタっちゃんを親友だと思ってる。別にそうじゃないから親友じゃないって話じゃなくて!」  達央はちょっと苦しそうなカオをして深く息を吐いた。失恋して悲しいんじゃん!可哀想に…僕は達央を元気付けなきゃって躍起になった。おっぱいでもあれば揉ませてあげてたけれど達央そういう不埒なの嫌がるしな。僕のちんこ揉ませてもな…達央にはなんかあんまり下ネタとか言いたくない。僕はテーブルの上の達央の手を取って、どうしていいか分からず腕相撲みたいになってた。 「負けた方が奢りで飲み行こ」 「失恋癒してくれるんじゃないのかよ」  ふわって笑ったからまぁいいかなって感じで手を抜いてたのに達央も多分手を抜いてる。じゃあその遠慮に甘えようかな?ゴミになった物にバイト代廃課金したし。 「やっぱ割り勘にしない?」 「おっ、逃げんのか」 「いやいや、僕がめっちゃ食べても割り勘」  ってことはこの腕相撲意味無くない?僕は達央の腕を倒した。 「じゃ、割り勘ね。タコ空揚(から)めっちゃ食うよ、僕」 「覚悟しておく」  落ち着いたみたいでよかった。デート(ぽしゃ)ったし丁度良いのかも。 「持つべきものは親友(なかま)だな」 「なんだよぉ、改まっちゃって」  けらけら笑って失恋なんか全然気にしてないみたいだったけれど達央は爽やかだから胸の中では悲しんでるのかも。もうここに何しに来たのかも分からなくなった。でも達央元気そうだしいいか。あと桐島は最低。んであの地味な女はクズ。 ◇  桐島は人工池が見えるせせこましい共有スペースにいた。周りに人がいたからこじんまりし過ぎている庭園に呼び出した。桐島は素直に応じた。すぐ椅子に座って、見るからに貧血っぽい。もう今までの桐島のことなんていちいち覚えてない。覚えられるワケない、桐島のことなんて。覚えるだけ無駄。使わない記憶ってこと。桐島のことなんか。 「聞いたよ、達央に」 「…そうか」  僕はうろうろして俯いている桐島をじろじろ見た。遠慮は要らない。桐島なんかに。 「何も無いってさ。なぁんも無かった。訊いたら全然別のこと話してくれたよ」  良い子ちゃんみたいに膝の上に手を置いて、それがちょっと震えてる。桐島は癲癇(てんかん)があるとかじゃないよね。ここでぶっ倒れられたら困るんだけれど。わざわざ人のいない所に呼び出したの僕じゃん。 「自意識過剰だよ、桐島。達央はなんにも気にしちゃいなかったんだよ。何したんだか知らないけれど結局達央にとってあんたはその程度。取るに足らない存在ってワケ。何が佐伯に聞け、だよ。訊いた結果何も無かった。あ~あ、本気にして損した。あんたには達央を傷付けることさえ無理なんだよ。その他大勢なんだから。人気者の達央に心無いことするヤツなんた腐るほどいるんだから、何したか知らないけどあんたもその1人に過ぎないってこと。無いってこと。達央はしっかりしてるし優しいから1人ひとり名前覚えていてくれるけど、でも桐島なんて存在してないも一緒だったってワケ。残念だね、桐島」  僕は腹を抱えて笑ってやった。桐島は膝を引っ掻いて、惨めで哀れでいっそ愛しさすらあった。 「感謝してよ、達央もう元気だよ。僕と飲み会楽しかったってさ。もう忘れちゃったんじゃない?紙で作った切傷ほども残せてないよ。良かったじゃん、許されて」  もう面白くて面白くて堪らなかった。 「ねぇ桐島、傷付いてる?でも達央は今の桐島ほども傷付いてないよ。何も無かったって言うんだから。よしんば傷付いてたって僕との飲み会楽しかったって!幸せだってさ」  カノジョと別れた話はしなかった。ワンチャンあるなんて思い込まないように。自分が達央の傷になれる、意識に残れるだなんてこれだけ自意識過剰になってるんだもん、分からないよ。 「ねぇ、どんな気持ち?どんな気持ちなのさ、教えてよ、真樹ち。僕は嬉しいよ。何したか知らないケド、達央が全然落ち込んでなくて」  桐島はいきなりすくっと立ち上がって僕に掴みかかった。泣いたカオはみたことあるけれども、今まで見たこともないくらいカオぐっしゃぐしゃにして、今までの啜り泣きなんて嘘みたいにぼろぼろボロボロ涙が落ちてた。僕の胸を数度殴って膝をつく。弱っちいの。また今日もきっちりしてる髪鷲掴んで顔上げさせた。片手でファスナーを開けてもうばっきばきになってるちんこを桐島の口に突き入れる。ひとつ願いが叶った。 「んぐくっ、」  口の中は熱くて涎まみれでぬとぬとしてた。桐島はいきなり突っ込まれてパニックになってるみたいで口開こうとしてけぷけぷ喉鳴らしてた。 「んぐっ、ぉご、こォっ、ごご…っ」  頭掴んだまま喉奥まで入れて舌の上を滑らせる。喉ちんこのもどかしさが堪らなかった。でろでろ出てくる唾液も舌のざらざら感を中和した。喉奥まで収めて頭押さえたまま大きさに慣れさせる。 「んっぐぐ、ご、ごご、ぉっ」  上品なことしか言わない品のいい桐島のお口からゲップとかカエルみたいな音が漏れ出て情けなかった。僕の腿を押して嫌がる。整えた髪はもうぐしゃぐしゃになっていた。歯を立てられて一旦抜いた。もう手コキでいいかな。前髪引っ掴んで顔に出すつもりでいた。汚いカオ見てまだやれるなって思ったからレンガの上に桐島叩き付けてズボン適当に脱がせた。外だよ、ここ。ヤバいよね。指舐めて丸出しになった尻穴に突っ込んでやった。 「アぁッ!」  便所に縛り付けてやりたくなった。中はとにかく熱くて指を締め付ける。きつさが分かったところで桐島の涎まみれになってるちんこ無理矢理挿入した。 「アっあッ!あ、あ…っ、」  ぬるぬるして血が出てた。カエルがひっくり返ったみたいな格好で桐島を揺さぶる。ナカはきつくて気持ちいいなんて思えなかった。 「アッぁ、っァァァっ!」  桐島の首が反れて齧り付きたくなる。泣き止んだはいいが引き攣った声を上げて脚が僕の腰に絡んだ。きつすぎて動けないのに青褪めて目を見開いてまだよく状況分かってないみたいだった。僕はAV、レイプモノしか見られない。 「桐島」  ガラス玉みたいな目が僕をおそるおそる見た。性に肯定的な女が嫌いなんだよな。そうなると虚構でもレイプモノじゃなきゃ嫌になる。抱かれたがって、ちんこ入れて欲しがる女に何の魅力があるのさ。孕みたがって、男に媚びる女に。金切り声が耳を劈く。ああそうだ、昔僕の悪口言ってた女、僕と同じ班になった時、犯されちゃう!って言ったんだっけ。でもそんなこと忘れて、僕が化けた途端に色目遣ってきたんだった。 「誰か来ちゃうよ」  真っ白い顔した頬をぺちぺち叩いて僕は笑っていた。金切り声は止まらない。 「誰か来てもいいんだ?」  僕はげらげら笑った。桐島はまだヒィヒィ泣いてて僕は仕方ないからちんこ抜いた。適当にズボンを戻していたら本当に誰か来ちゃった。僕は他人のフリをして医務室に運ぶのを手伝ってもらった。あとは知らない。もう知らない。桐島のことなんか。 「今日はいいのか、好きな人に会いに行かなくて」  達央は少し困ったように言った。誰のことだかも忘れちゃった。達央にさえ僕はテキトーなこと言ってるみたいだ。 「うん。なんか冷めちゃって。片想いって呆気ないなぁ。おっと、ここに優しくて男前がいるの発見」  性格上根掘り葉掘り訊きはしないと思うけれどこの話題はあまり良い話じゃないな。話にする価値ないよ、桐島なんて。達央が気に留める必要もない。 「成瀬」 「やっぱ友情だわ」  達央は何か言いたそうだった。でも僕の声と重なった。何だとばかりに達央を見るとただ「そうだな」って同意した。 「成瀬は、片想いより片想いされるほうのがしっくりな」 「そう?愛されるより愛したいつもりなんだケドね。それともタっちゃん、僕のコト愛してくれんのかな」 「ああ」  なんか気の利いた冗談が返ってくるのだとばかり思ったから素直に、それでちょっと真剣っぽい響きに素で驚いてしまった。 「成瀬のこと愛するよ」 「も~、照れんじゃん」  嫌味のない笑顔向けられると悪い気はしない。だって男前だから。 「成瀬」 「うん?」 「手、貸してくれよ」 「うん」  僕は手を出した。手を貸すって手伝うってことか?と疑問に変わった瞬間、厚くて温かい手で握られる。 「こうしてると落ち着く」 「何か落ち着かないことでもあったの?」 「いいや。そういうわけじゃないけど」  達央ってかっこいいよね。誠実だし。なんで変な夢見てたんだろう。バカみたいでアホ丸出しの薄っぺらい夢をさ。 「何かあったら相談してよ。誰かの相談に乗るのはいいケド、タっちゃんの相談には誰か乗ってくれるの?」 「ありがと、成瀬。頼りにしてる」  握ってくる手が強く熱くなる。引っ張られて僕の手の甲が達央の頬っぺたに当てられた。なんか照れるし恥ずかしい気がした。 「ホントに大丈夫?」 「ああ、悪い。でももう少しだけ」  喧嘩でずたぼろにされた猫とかみたいで放っておけない感じがあった。達央には珍しい。なんだかんだ言ってもまだカノジョのこと引き摺ってるのかな。人肌恋しいんだ、それで。僕もそんな好きな子じゃなくたって別れたら別れたで人肌恋しくなって達央に擦り寄るもんな。僕と居ると達央の良さに気付いちゃってみんな達央に流れていっちゃうんだけれども。仕方ないよ、怒ることも忘れて、むしろ当然だとすら思ったね。僕も同じ立場だったらそうなる。別に達央だって奪い取ろうとかしてるんじゃなくて自然に僕のカノジョにまで気を配れちゃうからな。 「今日は一日中、タツオと居るよ」  まだ腕引っ張られて達央の腕の中にいてびっくりして心臓がバックバクいってた。傍を知ってる優しい匂いが通った。僕は強く閉じ込める腕の中から、ダサいプレゼントの包みぶら下げてる後姿を見ていた。 ◇  もう誰も来なくなった場所を僕が使ってやろうかと思って曇ってるけれど南向きのベンチに僕は座っていた。誰も来ないなんてなんで思ってたんだろう。桐島が来た。またクソダサいプレゼントの包みを下げていた。ガソリンみたいな虹色に照って、六角形がキラキラしてる奥にシマウマ柄のタオルが入って、縦巻きロールのリボンがぷらぷら揺れてた。また犯されに来たのかな。僕は笑ってやった。桐島は何も言わずに手の中のゴミを差し出してきた。なんであんな物にバイト代課けちゃったかな。浮かれていた意味不明な自分の挙動が今更恥ずかしくなって見ていられない。桐島はおそるおそる僕に近付く。見るからに緊張してる。トドメ刺してあげようかなって思って僕はベンチから立った。桐島の身体が怯えたみたいにびくっと震えた。ゴミ差し出してる腕が引っ込むと同時に捕まえた。裏会館は新しくてトイレも綺麗だった。抵抗なんて許さない力で引っ張ったけれど桐島は抵抗なんてしなかった。やっぱり犯されにきたんだ。お似合いだよ、みっともなく尻穴にちんこ入れられて、情けなく泣き喚いて、惨めに捨てられるの。クソダサいプレゼントのセロファンの包みがカチカチ鳴った。さっさと捨てろよ、そんなゴミ。値段ばっかり高くてその辺の量販店と同じ物だろうに。高級ブランドなんて名前ばっかりでただのタオルだ。濡れれば臭いし数回洗えばすぐ傷む。苛々しながら個室トイレを開けてぼやぼやしてる桐島の身体を壁に叩き付けた。綺麗だしライトはセンサー式だし意外と広かった。明らかに僕を拒絶して顔を背けて、本当に負犬。 「僕の前にのこのこ現れたの、そっちだからね」  壁に追い込んだ僕を桐島は押し退けようとした。考えてなかったのかな、この前されたこと、またされるって。 「ドMだよね。泣き叫んでたクセに気持ち良くて忘れられなかった?」  すごいカオで桐島は逃げようとする。逃すわけない。桐島から来たんだから。 「放せ…!放せ、よ…っ!」  結構力強い。本気みたい。僕も本気。 「助け呼んであげよっか」  僕は押し除けようとする桐島に抱き付いて尻を揉んだ。何の面白みもない小さくて固い尻。ズボンの上からこの前無理矢理挿れて血が出た穴を押す。 「っぐ、」  すぐ横の便器に力尽くで倒して無理矢理尻丸出しにした。尻穴がひくひくしてた。トイレの床に膝着いちゃって潔癖の桐島はつらいね。 「や、めろ……っ」  流石に血が出るとちょっと僕も痛そうだなって思っちゃうわけで、指舐めてまたぐりっと挿れてやった。 「あひっ」  マヌケな声を出す桐島が滑稽で、尻の中掻き回した。期待はあるけれど僕もまだ勃ってないし、色気のある声でも出して欲しいところだった。熱くてきつくて柔らかい腸をぐにぐに揉みながら空いた片手を桐島と便座のフタの間に捻じ込んでおっぱい触った。ぷつって乳首勃ってて、またこりこりして遊んだ。指で弾くたびに尻の穴がひくっひくって指締めてきてそれが可愛かった。まだこの気持ち悪い男にそんな感情残ってたんだな。 「っ…ぅ、く」  押し殺した声が聞こえた。遠くでチャイムが聞こえる。次の講義は出られそうにない。こいつも。 「ぅっ…う、」  また泣いてるみたいだった。いい気味だよ。なんで僕のところになんか来ちゃったのさ。乳首こりっこりにいじって指ももっと奥を女の子にするみたいにぬぽぬぽ出し入れするときゅんきゅん中がうねって、なんか求められてるみたいだった。女の子なら気持ち良がってる場所だけれど、ケツの穴からちんこ押すとどうなるんだろう?って好奇心が湧いて、ちんこ生えてるところの裏側を突いた。桐島の腰が跳ねて、桐島はちょっと動いた。両手で口を押さえて、か細い声が漏れ出る。乳首押し込みながらまたちんこの裏スクラッチしたら、穴と金玉の間の筋がどくんどくん凹んでちんこからとろとろ女の子の愛液みたいなやつ漏らしてた。尻穴なのに。こんなところが気持ち良いのヤバくない?達央のオンナになりたかったのかな。座薬しか入れないのに気持ち良いとか。耳の穴も気持ち良さそうだったしちんこの穴舐めた時も気持ち良くなってたし、もしかして鼻の穴とかでも気持ち良いのかな。 「ド変態じゃん、桐島」 「あ…、あっぁ…」  ケツの中の指動かしながら耳元で囁いた。 「んぁ……や、ぁあ…」 「ドMかよ」  返事するみたいに尻穴がきゅんって締めてきて面白すぎてゲラゲラ笑っちゃった。
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