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歓迎会(1)
今夜は俺の歓迎会なんだそうだ。
なーんて他人事みたいに思ってる。
正直言って、毎日気を張ってるから早く帰りたい。
でも、わざわざ忙しい合間を縫って俺一人のために動いてくれてるのは申し訳ないし、女性陣の張り切り具合が凄くて口を出せないでいる。
係長が笑いながら教えてくれた。
「いつもだと俺達に丸投げなんだけど、今年は若林君だからなのか、自分達に仕切らせろと言ってきてね。
本当に気に入られたんだねぇ。」
とにかく!今夜を乗り切れば暫く食事会はなさそうだから、耐えよう…頑張れ、俺!
定時――
「さぁ、係長!行きますよ!
パソコンの電源落として!デスクに鍵掛けて!
皆んな、行くわよー!」
凄い団結力…流石に女の園人事部…
両脇を拉致されるようにガードされ『両手に花よ!』なんて言う先輩達に引き摺られるようして連れて行かれた。
その後ろから係長がついてくる。
見てないで助けて下さいよっ!
ちらちら後ろを振り返り、アイコンタクトで助けを求めても、横に首を振られ…援軍は来ないことを悟った。
あれ?部長は?
「あの…部長は?」
「用事を済ませてから現地集合するって連絡があったの。
あっ、あそこよ!」
小洒落たレストランが見えてきた。
「こんばんはー!お願いしまーす!」
「はい、いらっしゃいませ。お待ちしておりました。どうぞ…」
他のお客さんはいない…まさかの貸切!? そういえばreserve の看板が立ってたような気がする…
俺の動揺に気付いたのか、岡田さんが
「ここはね、酒井さんの実家なの。
今夜は無理言って貸切にしてもらってるから、思う存分食べて飲んでね!」
マジか…そこまでするんだ…
係長の気の毒そうな視線に気付いた…
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