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歓迎会(2)
これから何が起こると言うんだ!?
まさか身包み剥がれるという訳ではないだろう。
あぁ、もうこうなったらたらふく食べることに専念しよう!
ついでに味をしっかり覚えて家でも作ってみよぉーっと。
立食形式なのか、椅子は端に寄せてあった。
皆んながわらわらと思い思いの場所を陣取る頃、部長が「遅れて済まない」と俺の隣に来てくれた。
ぶちょおぉ〜…絡まれたら助けてくださいよぉ…
係長は見て見ぬフリするんですぅ…
祈るような気持ちで隣に立った部長を見た。
ふわりといつものフレグランスが鼻先を擽る。
はあっ…いい匂い…ふと、頭1個分以上の差があることに改めて気付いた。きっと180㎝以上あるんだろうな。
高身長、高収入、高学歴…何て羨ましい…
部長はそんな俺を見て、ふっと優しい目をして笑った。
うわぁっ…そんな顔もするんだ…
勘違いしますよ、それ。反則。
男の俺でも胸が“きゅうぅぅん”ってしてるもん。
萌え。萌えってこんな感じなんだろうか。
いや、部長は男で俺も男だから。
ときめいてもダメだから。
俺一人ドギマギしていると岡田さんがすっと一歩前に出た。
「えー、コホン。皆様お揃いになりました。
毎度お馴染み岡田でございます。
ただ今から若林君の歓迎会を始めます。
業務に追われて開催が遅くなって申し訳なかったです。
因みにここは酒井さんのお店だから、多少の我儘は聞いてもらえる…はず!
皆んな、乾杯の準備はいいですか?
改めて…若林君、我が人事部へようこそ!
君を受け入れることができて私達は本当に嬉しいです!
今後ともよろしくお願いします!
では、かんぱーーーーい!!!」
かんぱーーーーいっ!!!
お局その1、ムードメーカーの岡田さんの音頭で歓迎会が始まった。
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