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俺、ソッチ側のヒト!?(1)
入社して1カ月が過ぎた。
金魚のフンも、時々離れることが増えてきた。
任される仕事も、少しずつ無理のないように係長が回してくれたお陰で、しっかりと理解してから着実にこなせるようになってきた。
べったりくっ付いていたから分かる。
この人は頭のいい人だ。
仕事面だけでなく、卒なく周囲を見て自分の立ち位置を弁えている。
部長からも女性陣からも信頼が厚い。
本当に困ったことがあったら、さり気なく助けてくれる。
スーパーマンみたいな存在。
あの岡田さんですら一目置いているようだった。
でも
この人が同性婚してるなんて…それも営業2課の青崎さんだとは…
食堂で何回か一緒になったことがある。
『爽やかイケメン』というキャッチフレーズが似合う男性 だった。
俺の横の席でいそいそと取り出した弁当をチラリと横目で見た…さり気なく見ると…あぁ、あれこれアレンジしてるけど、係長のと同じような中身だ、って気付いた。
両手を合わせて「いただきます」と呟いて、大事そうに噛み締めながら食べてたっけ。
薬指にキラリと光った指輪は、きっと係長とお揃いなんだろう。
俺は元々、そういう種類の人達に対して偏見はない。
恋愛は自由だと思っている。
実際、学生時代に友人の中にいたから。
彼らは本当に普通で、特別ではなかった。
当時、俺は1つ年下のサークルの後輩と付き合っていたけれど、逆に男同士の関係を“羨ましい”と思ったことが何度もあった。女の子って面倒だ、とも思ったりもした。
事実、俺の心が何処か違うところにあると感じた彼女から手酷く振られる羽目になったのだけど。
その後、何人かの子達と付き合ったけれど、やはり本気ではなかったのだろう、誰とも長続きはしなかった。
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