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歓迎会(4)

俺もしこたま絡まれて揉みくちゃになりそうなところを部長や係長(宴席の場では助けてくれてた!)のナイスフォローで救出されていた。 飲み会の度にこれか!? 他の部署はどうなんだろう。 同期に会ったら聞いてみよう。 行末を恐ろしく感じながらも、これも社会人としての処世術か、と半ば諦めの境地でひたすら無事にお開きになるのを待っていた。 そして、テーブルの料理も綺麗に空っぽになり、空いたワインのボトルやグラスが目立つようになった頃、部長の言った通りに再び岡田さんの締めで解散となった。 タクシーで帰ろうとする俺を呼び止めたのは、見事に酔っ払った岡田さんだった… 「わっかばやしくぅーん!2軒目行こうか!」 「えっ、えっ…俺は…」 ひえっ…俺は帰りたい… 断りの言葉を探し口籠る俺の前に何かが立ちはだかった。 「岡田君、悪いな。 俺、少し酔ったみたいだから若林君に連れて帰ってもらうように約束してるんだよ。 女性陣だけで楽しんできてくれ。 これで、何か別腹のスイーツでも。ね?」 「えーっ!?そうなんですかぁ?部長、いつもすみませぇーん! みんなー!部長にスイーツ代いただいたわよー!」 わーい!ありがとうございますぅ! 部長大好きぃ! 私パフェがいい! 私ケーキ! 口々に部長にお礼を言うと、俺達には目もくれずに一行は去って行った。 「部長、いつも二次会の費用すみません。 彼女達、アレが目当てで最後絡んでくるような…」 「アレくらいで猛獣が大人しくなるなら安いもんだよ。 寺橋、お前ん家回って帰るから乗れよ。」 「いえ、そろそろ迎えが…あっ、いました! お疲れ様です!お先に失礼します。」 係長はひらひらと手を振って、向かい側の道路に急いで走って行った。

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