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動揺と肯定(1)

俺は、空のカップを手にしたまま暫くぼんやりとしていた。 係長に指摘されて確信した部長への思い。 同性のパートナーがいる係長だからこそ、俺の普段の行動から、部長を特別な目で見ていることに気付いたのだろう。 いや、違うよ!俺、フツーの男だもん。おっぱいデカい女の子大好きだし。 そうだ、憧れだよ!憧れ! あんな『ザ・大人の男』になりたい思いが強すぎるだけなんだってば。 そうだ、きっと…そうに…違い…ない…はず… あーーーーーっ、恥ずかしいっ! 係長、いつから気付いてたんだろう。 俺、どんな惚けた顔してたんだろう。 そんなに分かるほどにニヤついてたんだろうか。 っていうか、俺は同性が好きな奴だったなんて。そんな、そんなバカな。 …認めたくないけど…この、この思いは…思わず言葉が口から零れ落ちた。 「部長が好き」 うわぁーーーーーっ!!! 自分で言って自分で吃驚して、ソファーに倒れ込んだ。 全身から汗が吹き出している。 ヤバい。 俺、何言ってるんだ!? 身悶えしてソファーの上でゴロゴロ悶えていた。 その時…コンコンコン…とノックの音がした。 また吃驚して「ひゃっ、ひゃいっ!」と変な声で返事をしてしまった。 「若林君?大丈夫?」 入ってきたのは…係長だった。 係長は、硬直して直立不動になっている俺を気の毒そうに見ながら言った。 「すぐ戻ってくるかと思ってたのに来ないから。 ショックで泣いてるんじゃないかと心配になって見に来たんだけど…大丈夫? …あー…大丈夫じゃなさそうだね… …どうする?早退するなら書類書いとくけど…」 俺は忘れていた息を慌てて吸い込み、深呼吸すると一気に捲し立てた。 「いえっ、大丈夫ですっ! 学生じゃないんですから、こんなことくらいで早退なんてできません!」

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