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一目惚れ:side赤石(2)
一度見たら忘れられない。
その日から――俺は彼の虜になった。
「…部長、何だか最近ご機嫌ですね。何か良いことでもありましたか?」
揶揄いを含んだ声音で問い掛けてくるのは、営業課長の白瀬だ。
お仲間の彼とは、とあるバー…『Bacchus 』で偶然出会ってから、他部署ではあるが上司と部下というより、社外ではタメ口を叩き合える同士となっていた。
同じ会社の人間だと知った時にはヤバいと思ったが、あっさりした性格なのか、危惧する必要もなかった。
ハッキリ言ってお互いの好みも違うので、恋愛感情を持つこともなく、いい仲間という感じで付き合っている。
『こっぴどく振られたことがあって…それ以来本気になれないんですよ。』
なんて寂しそうに笑うその顔が、俺には辛かった。
心の傷を抱えたまま、特定の相手を作らず気ままな恋愛を楽しんでいる風の彼のことは、同志として気にはなっているが…これは本人が決めること、仕方がない。
とはいえ、恋愛ごっこのような感じで、ちゃんと操は守っているようだ。
「ふふん…そう見える?」
「あー…気付いてないのか…エロオーラ出まくりですよ。
ここは会社。プライベートは家に帰ってからにしてくださいよね。」
「エロオーラって…人を盛った獣みたいに言わないでくれよ。」
「で?どんな男 ですか?
あなたのお眼鏡に叶うなんて…何処で見つけたんです?」
俺は嬉しくなってこっそりと耳打ちした。
「…実はな…新卒で今度入社試験を受けに来る予定のコなんだよ…」
白瀬は一瞬仰け反ると、ひそひそ声で返してきた。
「うへぇ…22才!?
それ、半分犯罪じゃないですか!?
成人して2年しか経ってないんですよ!?」
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