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一目惚れ:side赤石(3)
「そんなこと言っても、履歴書の写真で一目惚れしたんだ。
絶対俺のものにする!…もう、うちに配属になるように手は打ってきた。」
「これだから人事を掌握する奴はえげつないんだわ…でもまぁ、良かったですね、どストライクっぽくて。」
「何とでも言ってくれ。
なりふり構ってなんかいられない。
こんな理想の相手に出会えるなんて、一生にあるかないかの出来事なんだぞ!!」
「…まぁ、仰るとおりですね…陰ながら上手くいくように祈ってますよ。」
「何かあったら協力してくれるよな?」
「ふふっ、当たり前じゃないですか。
give & take。
入社式が楽しみですね…でも、正直引くわー。」
「…ドン引きするなよ…あの字体は間違いない!
性格も従順で明るくて絶対良いはずだ!
顔も俺のモロ好みだし。」
「…社長の影響、物凄いですね…何かの新興宗教みたいですよ、ぷぷっ。
…俺もペン字教室に通おうかなぁ…」
「今更だろ?
今にお前にだって、素で愛し合えるお相手が現れるよ。
ひがむな、ひがむな。」
「慰めはいりませんよ。
俺はマイペースでいいんですって。
やっと、部長にも春が来たんですね。」
「あぁ…長い冬が終わりを告げそうだよ…」
「あの、妄想に浸ってるところ申し訳ないんですけど…そのコ、ノンケじゃないんですか?」
「ん?」
「だーかーらー…そのコ、俺達と同じなんですか?」
一瞬の沈黙の後
「…分からねぇよ…でも、絶対に俺のモノにする。」
「…はあっ…やっぱり陰ながら応援させていただきます…あっ!ヤバい、時間だっ!
じゃあ、部長、また!」
ひらひらと手を振りながら、白瀬が行ってしまった。
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