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思いを告げる(2)
重苦しい空気は、次第に熱量を孕んでいく。
息苦しい。上手く呼吸ができない。
それでも…視線を外せない。外した方が負けのような気がした。
『好きです』
思いを込めて見続ける。
やがて小さな箱は目当ての階に止まった。
どちらからともなく視線を外した。
抱きかかえられたままそっと押し出されて、廊下を歩く。
部長はガチャガチャと乱暴に鍵を開けると、俺を先に押し込んだ。
「んっ」
不意打ちで唇を奪われた。
薄く開いた歯の間から舌先を捻じ込まれて、むしゃぶりつかれている。
段々身体中の力が抜けていった。
かくりと膝を折った身体を抱きとめた部長は、俺の身体を掬い上げると、横抱きにして歩き出した。
何処へ行くのだろう。
酸欠みたいにぼんやりと働かない頭は、考えることを止めてしまった。
部長は脱衣所でそっと俺を下ろし、服を脱がせ始めた。
何をされているのか、やっと理解した俺は
「ぶっ、部長!?何を??」
「“部長”じゃない。2人っきりの時は“達也”と呼んでくれ。」
「達也…さん?」
「弘毅、いい子だ。」
いきなり名前を呼ばれて、頬が赤く染まる。
服をぱさりぱさりと床に落としながら、俺の首筋や胸元に啄むようなキスが落とされる。
熱い…じわりじわりとそこから熱が侵食していくようだ。
唇が触れるところからとろりと甘く溶けていきそうな気がして、怖くなった。
震える俺に気づいたのか、達也…さんは
「…どうした?怖いか?…嫌か?」
と、手を止めて聞いてきた。
その目は少し悲しげで…俺は首を横に振ると
「…あなたの唇が、触れるところが熱くて甘くて…溶けてなくなりそうで…んむっ」
噛み付くように、再び舌が捻じ込まれた。
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