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思いを告げる(11)
夜ご飯も食べず抱き合ったせいで、恥ずかしながらお腹がぐうと鳴った。
達也さんは「ちょっと待ってろ。」と言い残し、着替えると何処かへ行ってしまった。
起き上がれない俺のために、達也さんがコンビニでパンを買ってきてくれたのだ。
ここの家は…調理器具も食材もほとんどない。
あるのは酒とコーヒーとインスタント麺だけ。
あ、この間の残りのお米と。
例え食材があったとしても、俺は筋肉痛で動けないから食事の準備もできない。
いつもだと、朝はコーヒー一杯だけで済ますらしいのだが、俺に付き合ってベッドに座ってサンドイッチを摘んでいる。
ちら、と視線が合うと俺を見つめる目が甘くて甘くて…その視線だけで蕩けてしまいそうになり、俺はすぐ目を逸らしてしまう。
頬が火照り、せっかく治まっている俺自身が反応し掛けて慌ててしまう。
そんな俺の様子を達也さんは嬉しそうに微笑んで見ている。
ちょっと…見ないで欲しい。
っていうか、昨日のことは…夢ではなかったのだ。
「弘毅。」
「はっ、はいっ!」
「ここで好きにしていろ。昼も夜も食べる物は俺が買ってくるから。」
「でも…」
「ここにいて欲しい。俺が帰ってきたらベッドの上で『お帰りなさい』って言ってくれ。
それだけでいい。
…頼む。」
きゅっと眉間に寄せられたシワと八の字に下がった眉。
狡い。そんな切なげな顔をされたら『恥ずかしくて嫌だ』とは言えない。
「…はい。お待ちしています。」
破顔した彼に抱きしめられ、危うくコーヒーを溢しそうになり咎めるような視線を送るけど、そんなことちっとも意に介さない様子でキスされた。
『俺も有休取ろうか』『一緒にいたい』等と泣き言を言う達也さんを宥めすかして持ち上げて、やっと出勤させた。
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