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骨も牙も抜かれた獣:side赤石(6)
「あっ、達也さん、お帰りなさいっ!
随分と早くないですか!?仕事、大丈夫ですか?」
ダボダボの俺のスウェットに身を包んだ弘毅を無言で抱きしめた。
「えっ!?あのっ!?えっ?達也さんっ!?」
焦る弘毅を更に抱きしめ、犬のように匂いを嗅ぎ…
「弘毅、ただいま。
無理しないでって言ったのに。でもありがとう。
宅配は?変な奴に何かされなかったか?」
真顔で尋ねる俺に、弘毅はキョトンとした顔をしていたが吹き出した。
「ぷふっ…何言ってるんですか!?
“変な奴”って誰のことなんですか?もう…それに無理してません。ちゃんと動けますから。
食材が限られているので、冷凍食品をアレンジしただけなんです。お口に合うか…すみま、んんっ」
我慢できなくて、唇に吸い付いた。
それだけでは満足できず、舌を差し入れて唾液を啜り上げた。
「ん…んっ…ん…」
鼻から抜ける甘い声に、つい調子に乗った。
頬の内側から上顎を舌先で擦り上げ、濃厚なキスを与えていく。
突然、かくりと膝から崩れ落ちた弘毅を慌てて抱きとめる。
「弘毅!?」
肩で大きく息をする彼を横抱きにして、ソファーに座らせた。
その前に跪いて両手を握った。
「すまない、大丈夫か?」
ふうっ…と大きく深呼吸した弘毅は、頬を染め潤んだ瞳で俺を見ながら、咎めるような声音で名前を呼んだ。
「はぁ…達也さん…」
「帰るなりすまなかった。
会いたくて会いたくて、ひとりでどうしているのか、宅配の奴に襲われたりしないかと心配で心配で…」
それを聞いていた弘毅の肩が震えだした。
「弘毅?」
「あはははっ…やだなぁ…くくくっ…達也さん、俺、成人男性ですから。
くくっ…ご心配なく。」
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