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骨も牙も抜かれた獣:side赤石(9)

最初は『帰りますっ!』と言い張っていた弘毅だったが、言葉巧みな俺の説得(泣き落とし)に…負けた。 やった! これで朝まで一緒だ! アンナコトやコンナコト…妄想が弾け飛んでいる。いろんなポーズの弘毅が乱れ飛んで、俺を誘っている…うんうん、待ってろ。すぐにヨくしてやるから。 弘毅の負担にならないように『1回だけ』で止めて…朝までこの腕の中に……ふっふっふ… 「あの…達也さん…」 「どうした?」 「あの…申し訳ありませんが、今夜は…その…“ナシ”で…」 「へえっ!?何で???」 「だから…その…まだ腰も痛いし、明日休みたくないし…ゴメンナサイ…」 「うっ…そっ、そうだな。昨日の今日だし、はしないぞ! でも、抱きしめて寝るくらいはいいだろ? な?」 「…それくらいなら…大丈夫です。」 申し訳なさそうに俺を見る弘毅に、またそそられる。 ぷるぷる震える小動物みたいで、俺の中の加虐心がむくむくと大きくなりそうだ。 俺の理性はいつまで持つかな…ちょっと遠くを見つめながらため息をついて気持ちを落ち着けてから、物分かりの良い大人を演じる。 「そうか、大丈夫か…うん、そうだよな…分かった…」 頭を撫でてやると、首を竦めて『くふん』と鼻を鳴らす弘毅を襲いたくなる。 いかん、いかん。マズい。無体なことをしたら嫌われる。 気を紛らわそうと、ふと思い付いたフリをした。 「そうだ!明日の朝ご飯を買ってくるよ。 コンビニのパンになるがいいか?」 「あっ…達也さんは“食べない派”でしたよね。 出勤途中で何か買うので大丈夫です!」 「ここで食べて行け。その方が嬉しい。 何がいい?惣菜系か?甘いのか?昼みたいな感じでいいか?」 「いいんですか?…じゃあ、甘えます!サンドイッチとあんぱんでお願いします。」

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