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愛される小猫(2)
俺の脳裏に、厳格な両親(母は表向きそうだった)と似たような兄貴2人の顔が浮かんできた。
はあっ…
「…滅茶苦茶厳しい両親と…それに輪を掛けたような兄が2人…正直言って前途多難…です…」
「あ…やっぱり…末っ子で皆んなにかわいがられて育ったんだろ?」
黙って頷くと
「うわぁ…部長も大変だな、これ…
若林君、自分の家族の反対を押し切ってでも、アイツと一緒になるつもり、ある?」
俺は即答した。
「はい!あの人以外、考えられません!」
「そう…分かった。
でもさ、覚悟しておかないと。下手したら、自分だけでなくてアイツの立場やら諸々を失うことになる…それでもいい?」
「それって、どういうことなんですか?」
「君の家族が君を守るために、部長を社会的に抹殺しかねないってこと。」
「え…抹殺!?」
「ごめん。言葉がキツ過ぎた。
君をまともな道に連れ戻そうと必死になる、ってことだよ。つまりは、会社や彼の周囲に性癖を暴露して居場所をなくす、痛めつける、ってこと。
弁護士かなんかを挟んで、彼に退職させる、君に二度と関わらないようにさせる…まぁ、方法は幾らでもあるだろうね。
それでも…一緒にいることを望む?」
そうだ。俺達の関係は、世間から見ると“まともではない”。
でも、何がまともでそうではないのか分からない。
…改めて問われると怖くなってきた。
達也さんを…痛めつける!?あぁ…でもうちの家族ならやりかねない…あの人を守るためには、この気持ち、諦めなきゃならない?
でも、でも、でも…
膝の上の拳をぎゅっと握り締めて、絞り出すような声で応えた。
「…私は…私はどうなっても構いませんけど、部長がそんな目に遭うのは…嫌です…
でも、でも…ずっと一緒に…いたい、です。」
その気持ちに嘘偽りはなかった。
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