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愛される小猫(6)
ウキウキとご機嫌になった部長は、(多分)俺だけに見せる顔をしていた。
「部長の食べたいもの何ですか?」
「うーん…何作ってもらおうかな… そうだな…肉じゃが!
材料買わなきゃならないだろ?スーパーに寄るか。」
ぶふっ…思わずベタな答えに…吹いた。
「ふふふっ…それって『彼女に作ってもらいたい料理』上位じゃないですか。
それなら、材料は家 にありますから、買い物しなくてもいいです。
あ…」
言いながら、頬が染まるのが分かる。
顔を見られたくなくて俯くと、部長にそっと抱きこまれた。ぶわりと濃厚なフレグランスに包まれて、くらっとした。
マズい、ここ、まだ会社だ…一握りの理性をフル動員するが、身体が言うことを聞いてくれない。
胸に擦り付くように逞しい胸に身体を預けてしまう。
そして…耳元で甘くささやかれた。
「そうだよ…『恋人に作ってもらいたい』んだよ。」
そっと顎を掬われて唇を奪われる。
ねろりと無遠慮に侵入してくる熱い舌を大した抵抗もせずに受け入れると、歯止めが効かなくなってくる。
じゅるじゅるといやらしい音を立てる侵入者に散々弄ばれて、息も絶え絶えになったところで、それに気付いた部長が慌てて解放してくれた。
「弘毅っ、すまんっ!
つい、夢中になって…大丈夫か?」
「…はっ、はあっ…はい…部長…会社では…」
「分かってる…反省してる…とにかく早く出よう。」
焦る部長に追い立てられるようにして、俺達は会社を後にした。
そして……出来上がった料理を目の前に『待て』状態の犬…いや、達也さんが…
満面の笑みであっという間に器が空になっていく。
どんだけお腹が空いてたんだ!?
俺の視線に気付いたのか
「ちゃんと味わってるから!美味過ぎて…ごめん!」
何故か謝られた。
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