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愛される小猫(12)

ぐったりとベッドに横たわる俺を達也さんがあれこれと構いまくる。 「弘毅、喉乾いてないか?水飲むか?」 「暑くないか?いや、寒くないか?もっと布団掛けるか?」 「腰はどうだ?痛くないか?揉んでやろうか?」 言葉の全てにクエスチョンマークがついている。 それらにことごとく首を横に振る俺に、達也さんはどうして良いか分からない風で。 いつものイケメンフェイスが、叱られた犬みたいになっている。 「…達也さん…」 「何だ?どうした?どこか痛むのか?病院行くか?」 「俺、どこも痛くないし悪くないです。ただ、ダルいだけで… 喉も乾いてないしお腹も空いてない。 大丈夫ですから心配しないで下さい。」 「そうか?そうなのか?…無茶して済まない。」 しょんぼりと項垂れる達也さんが妙にかわいく見えて… 「あの…お願いが…」 「何だ?何でも聞くから!何だ?」 「…ぎゅってして…一緒に寝てほしい、です…」 達也さんは大きく目を見開き、これ以上ないくらいの微笑みを浮かべながら、いそいそと俺の隣に滑り込んできた。 「弘毅…」 そっと包み込まれ、耳元でささやかれる低音ボイスに、身体がぶるりと震える。 「達也さん…」 甘えるようにその胸に擦り付くと、はあっ…とため息を吐かれた。 え…甘えちゃダメだったのか!? 問い掛けるような目で見つめてしまったのか、達也さんは俺の鼻先をつつきながら 「あんまり煽って俺をつけ上がらせてはダメだ。 自制が効かなくなってしまうよ。 …今夜は大人しく抱いて寝るから…これ以上、俺の理性を壊さないでくれないか?」 更に、きゅっと抱きしめられ、達也さんの匂いに包まれる。 煽ったつもりはないんだけど。 俺、本当に愛されてるんだ。 また無意識にぐりぐりと頬を擦り付け、ゆっくりと夢の谷間に落ちて行った。

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