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愛される小猫(14)
髪をかき上げながら部屋を出ていく、朧げに浮かんだシルエットの美しさに心臓が鷲掴みにされた。
綺麗…カッコいい…
まるでギリシャの彫刻みたい…
姿が見えなくなってもうっとりと見つめていた。
「弘毅。」
「はっ、はいっ。ありがとうございますっ。」
ペットボトルを手渡され我に返ると、慌てて水を飲んだ。
カラカラに乾いた喉に、身体に染み渡るようだ。
半分程一気に飲むと、はあっ…と大きく息を吐いた。
「どうした?ぼんやりして…無理に抱き過ぎたか?」
「ちっ、違いますっ!
…あの…達也さんの後ろ姿が物凄く綺麗でカッコ良くて…見惚れてました。」
「え…それはどうもありがとう。嬉しいな。
弘毅、俺の身体はお前のものだよ。」
ぎゅ、と抱きこまれたその素肌が心地良くて、逞しい胸に頬を摺り寄せ、思わず「気持ちいい…」と口走ってしまった。
「はぁ…弘毅…」
ため息とともに零れ落ちた困った声音に、びくりと身体が跳ねた。
どうしよう。怒らせた?
恐る恐る顔を上げて表情を盗み見るが、まだ暗闇の中では分からない。
「ごっ、ごめんなさいっ!」
慌てて腕を突っ張り離れようとしたが、その動きを封じ込められて更に強く抱きしめられた。
「何故謝る?…そんなかわいいこと言うと襲いたくなるじゃないか。ほら。」
右手を取られてある部分へと誘われる。
それは固く熱を持ってぴくぴくと震えていた。
「あっ」
「宥めてくれないと、コイツは悪さするぞ。」
くくっ、と喉奥で笑った達也さんは、俺からペットボトルを奪うとテーブルに置き、俺をそっとベッドに押し倒してきた。
「弘毅、嫌じゃないか?」
ズルい。俺に決めさせようとするなんて。
「…達也さんはどうしたいんですか?」
ふふっ
「愛し合いたいに決まってるだろ?」
彼の重みを身体に感じながら、深いキスに溺れていった。
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