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愛される小猫(15)
再び目が覚めたのは、昼になろうかという頃だった。
達也さん…いない。どこに行ったんだろう…
うーーーっ…痛い…身体中びきびきミシミシ言ってる…お尻なんて、何か、緩みっぱなしのような気がしてならない。元通りになるんだろうか…戻らなかったらどうしよう…病院で何て言えばいい?理由は?…言えないよっ!
喉だってガラガラのカスカスで。
だから…だから無自覚に煽っちゃダメなんだってば…
いくら甘えた声や顔をされても、雰囲気に流されてはダメなんだよ…
でも、だって。
キモチイイんだもん。仕方ないじゃん。
身体中余すところなく弄られてキスされて『愛してる』って沢山言ってもらって。
俺の知らない、俺が感じるところばかり責めてくるんだもん。
頭ん中真っ白になって、お腹の奥がきゅんきゅん疼いちゃって、ドライで何度も何度もイっちゃった。
加減しよう。加減してもらおう。
でも…心は滅茶苦茶満たされている…
重怠い身体をゆっくりと動かして、達也さんを探しに起きあがった。
「…達也さん?」
リビングにもキッチンにも気配はない。
バスルーム?
向かおうとした途端にドアが開いた。
「弘毅っ!起きて大丈夫なのか?
洗ってやるからこっちにおいで。」
「いっ、いいえっ、自分でっ」
「いいから、早く。」
ひょいっと掬い上げられて、否応なくバスルームに運ばれた。
身体中もこもこの泡だらけにされ、優しく洗われる。
またエッチなことを仕掛けてこないかビクビクしていたが、杞憂に終わりホッとした。
その後も何もされずに、全身をひたすら優しくタオルで拭かれ、髪も綺麗にセットされた。
ずっと、蕩けるような瞳で見つめられている。
甘い。激甘。
達也さん、こんな人だったんだ…
“愛してる”オーラが矢のように突き刺さってくる気がして、俺は夢見心地で時を過ごしていた。
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