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難敵来襲(3)

side:勝義 よっしゃあ!出張だ!弘毅に会える! 部長から言い渡された瞬間、顔がニヤけた。 「若林…遠距離の彼女でも待ってるのか?」 「いえ!違いますっ!大事な末の弟です!」 「…お前…ブラコンか!?危ないぞ、それ。」 「大丈夫ですっ!ご心配なく!」 怪訝な顔をする部長を尻目に、自分のデスクにスキップしながら戻った。 へっへっへ。何年振りなんだろう。 生まれた時から俺達家族に愛されて育った弘毅。 俺達はそれが当たり前だと思っていたのだが、実家を離れ一人暮らしをしていろんな人達と接するうちに、それは『過保護、溺愛、過干渉』というものだと知った。 理解した時には天地が引っくり返る程の衝撃だった。 当の本人である弘毅は、末っ子の要領良さとあざとさと持って生まれた天然さを発揮して、俺達の溺愛を割とスルーして成長した。 …多分、本人は気付かず育った感がある。 俺は進学と同時に断腸の思いで弘毅と離れたから、溺愛の比重は4から3に減ったわけだが、茂明によると、両親は相変わらずの扱いだったようだ。 弘毅の進学は揉めに揉めた。 手放したくない両親と、目指す県外の学校へ行きたい弘毅。 俺と茂明が間に入って…その頃には両親の溺愛が異常だと客観的に見ることができていたから…弘毅の味方をして高校の担任も巻き込んで、何とか弘毅の希望を押し通した。 拗ねた親父は学費を出さないと言い張ったが、流石にお袋が却下した。 程なくして弘毅自身も家を出て外の居心地の良さが分かったのか、実家に寄り付かなくなってしまった。 時々思い出したようにラインのやり取りはあるものの、俺も中々実家に足が向かないし、忙し過ぎて弘毅とも会う時間もなく、ご無沙汰だった。 社会人としてちゃんとやっているのか。 ご飯は食べているのか。 誰かに虐められたりしてはいないのか。 まさか恋人なんているんじゃないだろうな。 むくむくと溺愛心が膨れ上がってくる。

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