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難敵来襲(5)

side:弘毅 携帯が鳴った。 こんな時間に誰だ。ちらりと画面を見ると大兄ちゃんからだった。 『兄ちゃんは新幹線なう♡』 見た瞬間、ため息が出た。 相変わらずだ。 お互いに成人して、少しは俺離れができたかと思っていたのに。ハートをつけるな、ハートを。 俺は彼女ではない。 呆れて暫く放置しておいた。 「弘毅、携帯鳴ってたぞ。ラインじゃないのか?」 「いいんです。兄からですから。」 「お兄さんなら早く返信してあげればどうだ?」 「…これ。見て下さい。」 そう言って漸く画面を開いた。 「…ぷぷっ…ハートって…何だか旅行が楽しみで仕方ない学生みたいだな。 これは噂に勝るブラコンかも…手強いな…」 「先が思いやられます。」 「くっくっ…きっとワクワクしながら返事待ってるはずだよ。 ほら、返信してあげろ。」 むぅ、と唇を尖らせて、タタタッと打ち返した。 『気を付けて』 「弘毅…スタンプも送ってあげろよ。 塩対応じゃないか。 お兄さん、泣くぞ。ぷぷっ。」 達也さんをちろりと見てから、目についた踊るパンダを送った。 「くっくっ…ほら、アヒル口。」 抱きしめられて唇を喰まれた。 じわりと上がる体温。 昨夜も愛されたお腹の奥が疼き始める。 これ以上は…でも、もっと…ダメ… 存分に唇を口内を嬲られて、そろそろ本格的にヤバくなってきた頃、漸く達也さんが少し距離を取ってくれた。 「…はあっ……達也さん、ダメです…」 「…うん、すまない。今日から暫く弘毅を独り占めにできない、触れられないと思ったら、つい…調子に乗った。」 達也さんはそう言って、軽く触れるだけのキスをしてきた。 「…俺だって、寂しいんですよ。」 ちゅ またキスを一つ。 「…キリがないです…」 ちゅ くすくすくすっ… 「お兄さんが帰られたら、思いっ切り弘毅を補充させてもらうから、そのつもりで。」 「………ハイ…」 ちゅっ それから時間まで何度も何度もキスをした。

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