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難敵来襲(6)
side:勝義
終わった…やり遂げた…
俺もヘロヘロだけれど、俺に付き合わされた担当の山崎君もヘロヘロだった。
「………お疲れ様でした…今日詰め込まずに、幾つかは明日に回してもよかったのでは?
まぁ、全て終わったからよかったのですけど。」
恨みがましい物言いにもめげず
「だって明日は金曜日でしょ?
もし明日できなければどうするんですか?
俺は今日と明日の2日間しかないんですよ?
『余力をもって備える。』
俺のモットーなんです!
でも、優秀なあなたのサポートがなければ無理でした。本当にありがとうございました!」
最後は思いっ切り持ち上げて堂々と言い放つと、褒められて悪い気はしないのか
「あっ、いや、えーっと、こちらこそありがとうございました!」
と満面の笑みに変わった。
せっかくだから一杯…という誘いを『すぐに纏めて報告したいから』と申し訳なさそうなフリをして断り、大袈裟に握手をして別れた。
そんな誘いになんて乗ってる場合ではないのだ!
かわいいかわいい弟との何年振りかの逢瀬を邪魔しないでくれ!
心はスキップしそうに踊っている。
あのスタンプのパンダ状態だ。
「若林さん、こっちに彼女でもいて今から合流するのかな…遠距離恋愛って大変だよなぁー」
なーんて、そんな俺の後ろ姿を山崎君が気の毒そうに見送っていたことなんて気付く余裕もなく。
大急ぎで弘毅にメッセを送る。
『今終わったぞー!
〇〇駅近くにいるんだけど、何処に行けばいいんだ?
会社まで迎えに行こうか?』
ピコン
『お疲れ様。
俺も今出たところだから、15分程待っててくれる?
悪いけどちょっと時間潰してて。
東口の改札で待ち合わせでいい?』
『おう!いいぜ。待ってるからな!』
ふっふっふっ…かわいい弘毅にもうすぐ会えるぞ!
ニヤける顔を両手でパン!と叩いて引き締めると、俺は東口を目指して歩き出した。
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