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兄貴の度量(3)

「お前…相手はオトコだぞ!?オ・ト・コ! まずそこで反対しろよ。」 「にーちゃん、相変わらず頭固いなぁ。親父と一緒。 今は性別関係ない時代だぜ!? 俺の会社にも何人も同性カップルいるよ。 この間も結婚式呼ばれて行ったけど、幸せそうだったぜ。 弘毅は弘毅なりに考えて行動してるはずだよ。 俺達の弟だもん。 きっとにーちゃんに頭ごなしに反対されて、大泣きしたはずだよ。違う? それで『大兄ちゃんなんて大嫌い』って言われて凹んで俺に電話してきたんじゃないのか? まぁ、自分の身内が、それもかわいがってた弟がソッチ側のひとだったなんて、超ビックリだけどさ。 うーん…やっぱり俺、明日そっちに行くよ。 にーちゃんだけだとロクに話も聞かないで、相手を殴りかねないもん。 それに相手を見極めたい。 弘毅の気持ちがどこまで真剣で本気なのかも確認したい。」 図星だ。ぐうの音も出ない。 「…頼む。俺は冷静ではいられないと思うし。 今も、酒飲んでも目も頭も冴え渡って寝られやしない。」 「あははっ!にーちゃんはクソ真面目で常識的だからな。ちょっとでも道に外れると許せないヒトだもんな。 分かった。段取りして行くよ。 で?場所は?時間は?」 「明日14時に俺が泊まってるホテル。 後で地図送るよ。」 「りょーかーい。にーちゃん、あんまり考え過ぎんなよ! じゃあ、明日ね!お休み。」 「おう。お休み。」 はぁ………… 流石安定の茂明。冷静だ。 ってか、何で反対しないんだ!? 相手はオトコだって言ったじゃん!? でも、まぁ、茂明が来てくれるなら安心だ。 3人兄弟の真ん中の茂明。 昔っから人間観察が趣味で、瞬時に自分の立ち位置を把握して振る舞う。 何かしでかして親に怒られる俺を尻目に、同じことを絶対にやらない。 甘やかされてかわいがられる弘毅を見ては、あざとくそれなりに甘える。 要領がいいと言うのか、何と言うのか…

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