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兄貴の度量(13)
俺達の視線も何のその、抱き合わんばかりに身を寄せて手を握り見つめ合う2人。
あー…ダメだこりゃ…
何処からか、あの往年のお笑い長寿番組のセリフが聞こえてきた。
ん?ということは、さっき散々言い散らかしてたくせに、茂明は認めるってことか?
「茂明…お前、まさかコイツらのこと認めるのか?
反対してたよな?」
「さっきまではね。ワザとキツイ口調で問いただしたのは、2人の覚悟を試す為だよ。
これだけ真剣なら俺が口を挟むことじゃない。
赤石さん、何があっても弘毅を守って愛し続けるって仰いましたよね?」
「はい。命に変えても。」
「弘毅、何があっても後悔しないんだな?」
「うん!俺は達也さんと生きる道を選ぶ。
後悔なんかしない。」
「分かった。俺は弘毅達の味方になる。
にーちゃんは?それでもまだ反対する?」
なっ、何っ!?何お前賛成してんの!?
何のためにお前を呼んだと思ってんだよ!
ばっかじゃねーか!?何考えてんだ!?
オマケに矛先が俺に変わった。
何?即答しなきゃならんのか?
え?何でそんなに即決できるんだ?
黙ったまま目を泳がす俺。
その間にも3人は…奴は茂明に向かって「ありがとうございます」と頭を下げ、弘毅は「小兄ちゃんは分かってくれると思ってた」と茂明に飛び付き、和気藹々としたムードが漂っていた。
いやいやいや。
待て待て待て。
俺の存在を忘れてやしないか?
誰も『絶対に大反対』なんて言ってないぞ!?
…いや、言ったか…
「弘毅、困ったことがあったらすぐ俺に連絡しろ。俺は彼女のお姉さんのことで経験があるし免疫もついてる。何かアドバイスできることがあるかもしれない。
赤石さん、LINE交換しましょう。
弘毅抜きでも話ができるように。」
いやいやいや。
待て待て待て。
何で俺抜きで話が進んでるんだ!?
「…おい。」
無視かよ。
「おいっ!」
一斉に3人が俺の方を向いた。
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