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兄貴の度量(14)
集中した6つの視線に動揺しながらも
「おっ、おい茂明っ!お前何言ってんの?
反対しに来たんじゃねーのかよっ!
俺を裏切って、何味方になってソイツとLINE交換してんだよっ!」
「…にーちゃん、いい加減に弘毅離れして、冷静に考えろや。
どうすることが弘毅にとって幸せなのか、この状況見たら分かるだろ?
実際に赤石さんに会って、嘘をつかない人だと俺は思った。弘毅を任せても大丈夫だと思う。
俺は、2人の覚悟を受け取った。
弘毅の兄として家族として、2人を応援すると決めた。
赤石さん、あなたのご家族は弘毅のことを認めてくれるのですよね?」
「ありがとうございますっ!心強いです!
はい、うちは同性同士の恋愛や結婚についても理解がありますから心配いりません。」
「それなら問題ないや。よかったな、弘毅。
あとは、にーちゃんとうちの両親だよな。
俺も協力するから、どうしたら攻略できるか考えようぜ。」
おい…俺は蚊帳の外かよ…本人はここにいるんだぞ!?
俺だって…俺だって弘毅の幸せを1番に願ってるんだぞ?
弘毅…そんな嬉しそうな顔をして…
俺のことなんて忘れてしまってるのか?
情けないことに、いたたまれなくなって泣きそうになってきた。
すると、弘毅が立ち上がり俺の側に寄ってきて正座した。
「大兄ちゃん…」
弘毅っ!
「大兄ちゃん…俺、大兄ちゃんにも認めてもらいたい。
愛するひとと結ばれてよかったな、って祝福してもらいたい。
だからお願い。
達也さんのこと許して下さい!お願いっ!」
絨毯に擦り付けんばかりに頭を下げた。
奴もその隣に座ると黙って弘毅と同じように頭を下げた。
「………うぅ――っ、くそっ……
おい、赤石さん、絶対に絶対に絶対に弘毅を泣かすようなことはしないと約束できるのかっ!?」
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