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酔虎(5)

俺は一体ここに何しに来たんだろう。 断片的な記憶は残っている。 確かに…… しつこくしつこくしつこく、達也に詰問して思いっ切り絡んでいた…間違いない。 「はぁ……」 大きくため息をつく。 アルコールの苦味がまだ口内に残っている。 「大兄ちゃん、これ。小兄ちゃんも。」 弘毅に手渡されたのはパッケージに入った新品の歯ブラシとカミソリ、そして肌触りの良いタオル。 「おっ、ありがとう。気が利くな。」 「弘毅、準備いいな。いつも誰か泊まりに来るのか?」 「ううん。夕べ達也さんが買いに行ってくれたんだ。シェービングフォームは洗面所の右扉にあるからそれ使って。」 「…そうか、サンキュー。」 イケメンは気配りもできるのか。 完全なる敗北。 分かった、分かったよ。俺の負けだ。認める。 「洗面所借りるぞ。」 のそりと起き上がり、鏡に映る自分と対峙する。 今日もまた酷い面。 酒は飲んでも飲まれるな。 んー、何かのスローガンのようだ。 あの程度で酔っ払ってしまうなんて、俺も焼きが回ったもんだ。 達也に色んなことを追求してやろうと思ってたのにできなかった。 結局俺は『達也は絶対に弘毅を幸せにする』というただひとつの確証が欲しかっただけなのだ。 そしてそれは達成された。 洗面を済ませるといくらかはマシな顔つきになった。 リビングに戻ると、味噌汁と卵焼きのいい匂いがしていた。 弘毅が俺達のために朝食を用意してくれていた。 ん?3人分? 「おはようございます。勝義、二日酔い大丈夫か? 朝食もできてるから食べてくれ。」 「あぁ、達也…おはよう。大丈夫だ。 絡んで酔い潰れてすまなかった。 迷惑掛けて悪かったな。」 達也は笑いながら首を振り、洗面所に向かう。 昨日よりも気持ちの距離が近付いている。 「にーちゃーん!腹減ったよー、早く!」 相変わらずマイペースの茂明は、顔も洗わずにもうスタンバイしていた。

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