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酔虎(6)

4人揃って食卓を囲んでいるが、並べられているのは3人分。 達也はいつも朝食いらない派らしい。 コーヒーを飲むその姿すら様になる。爆ぜろ、イケメン。 本当は弘毅も朝はあまり食べない。一緒に住んでいた頃は無理矢理に食べさせて登校させていたが、生活スタイルの変わった今では、自分達のペースを作っている。 それが何か悔しい。 今日は俺達に合わせてくれているようだ。 俺達3人の顔を交互に見ながら、嬉しそうに口に運んでいた。 コーヒーカップを置いた達也が口を開いた。 「2人とも今日の予定は?明日まで休みとってるんだろ?」 「あぁ。明日の10時過ぎの新幹線で帰るつもりだ。茂明もそれくらいだろ? いや、予定は特に決めてないんだ……弘毅の行きたい所に連れて行ってやろうと思ってたから…」 「うん。俺も昼前には出るつもり。 だから今日は目一杯付き合えるよ。」 「そうか。 弘毅、皆んなで行きたい所は?どこでもいいぞ。」 あー…また甘い視線で弘毅を見つめている… 弘毅、お前も見つめ返すな!にーちゃん、目のやり場がないじゃないか。 朝から蜂蜜を流し込まれてる気分だ。 「え!?いいんですか?……じゃあ……水族館!」 「「「水族館!?」」」 意外な答えに俺達の声がハモった。 弘毅は、えへへと恥ずかしそうに笑いながら言った。 「ずっと行ってみたかったんだ。」 「言えばデートで連れて行ったのに。」 「流石に子どもっぽいかな、って。」 見つめ合ってくすくす笑う2人に、もう突っ込む元気はなかった。 「じゃあ、野郎4人で行くとするか。 都内に幾つかあるんだろ?何処がいいんだ? 俺もにーちゃんもさっぱり分からないから、弘毅に任せるよ。」 「1番人気のホテルの中にある水族館!」 早速携帯でググってみる。 へぇ…こりゃあ、デートコースに最適じゃないか。 水族館なんて元カノとのデートですら行ったことがない。

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