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酔虎(7)

「あ、でもさ。にーちゃん二日酔いで頭痛いんじゃないの?ここで休ませてもらっとく? なんなら俺達3人で出掛けてくるけど。」 「そうだね。大兄ちゃん、大丈夫?そういえば何か顔色悪いよ? 無理ならここで休んでてもいいよ。 お昼は何か胃に優しいものでも買ってくるね。」 「えっ…」 何!?俺だけ仲間外れにするつもりか!? 確かに二日酔いで酷い顔をしている。さっきまでちょっとだけ気分も悪かったが、朝飯食ったら元気になった。 でもな、でも。 俺はお前達のことを思ってわざわざここにいるんだぜ?なのに、何だよ。 全く悪気がないのは分かっているのだが、弟達のあまりの仕打ちに即答できずにいた。 疎外感――俺はお前らの『にーちゃん』だぞ!? ふと視線を感じて達也を見ると、奴は横を向いて肩を震わせている。 「くくっ……いや、勝義も気分転換に行きたいよな? 外の空気吸いに行こうぜ。 閉じ籠ってばかりだと気分も滅入るしさ。 昼は近くの店でランチでもどうだ?その頃には勝義の気分ももっと良くなってるに違いないよ。 勝義さえ良ければ、俺は勝義が一緒に行ってくれた方が嬉しいんだけど。」 達也が助け舟を出してくれた。 「おっ、おう。そうだな。せっかく達也がそう言ってくれるんなら…俺も行く!」 「そう?大丈夫ならいいんだけど…大兄ちゃん無理しないでね。」 「大丈夫だ。シャワー浴びて目ぇ覚ましてくるよ。 あっ、着替え…」 「にーちゃん、心配すんな。俺朝イチでホテルから持ってきたよ。 俺のキャリーバッグの中に見繕っていれてきたからさ。」 「…茂明……お前、気が利くな。サンキュー。 弘毅、バスルーム借りるぞ。」 「大兄ちゃん、はいバスタオル。」 優しいのかそうでないのか。 弟達の天然ぶりに頭を抱えつつ、肩を震わせる達也の横を素通りした。

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