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デートに保護者(3)
水槽展示も都会的だ。
アザラシやペンギン、お決まりの動物達を楽しんだあと、メインイベントのイルカのパフォーマンスエリアへ。
見やすい席を確保して始まるのを待つ。
弘毅は…終始笑顔だ。
先日の冷ややかな顔付きを想像すらできない顔。
そうか。
達也でないとそんな顔はしないんだな。
にーちゃんは寂しいぞ。
落ち込みながらもため息は封じ込めた。
へえっ…開放的な他園の水族館のステージと違って、光と音と水を駆使した不思議な空間が出来上がっている。
歓声があちこちから上がる。
そういう俺も「おおっ!」「すっげぇ!」とか口走っていた。
他社との差別化。オンリーワン。
これを見るためだけに集まる顧客。
これさえあれば負けない戦略、か…。
あっという間にショーは終わった。
「にーちゃん、弘毅売店に行きたいんだってさ。」
「おう、いいぞ。」
はぁ…売店もオッサレーな感じ。
弘毅は達也と一緒にぐるぐると店内を回ると、ぬいぐるみを手に取っては置き、どれにするか悩んでる風だった。
「にーちゃん、これどっちがいいと思う?」
茂明が抱えてきたのはノコギリザメとクラゲ。
ふんっ、彼女への土産か。どっちでもいいじゃん。
「俺的にはノコギリザメ。」
「そっかー、そうだよねぇ。でもクラゲも捨てがたい。」
「両方買えよ。」
「えー、結構なお値段なんだよ。うーん、悩むなぁ。」
知らねーよ。俺にはそんなの関係ねぇ。
思わず踊りたくなった。
そうこうしているうちに、弘毅達が合流した。
手には大きなビニール袋を抱えていた。
「弘毅、何買ったんだ?」
「へへっ。イルカ!子供みたいで恥ずかしいんだけど。達也さんが買ってくれたんだ。
あ、これは大兄ちゃん、こっちは小兄ちゃんに。」
「ん?何だ?」
「ノコギリザメのキーホルダー。かわいいよ。」
「おっ、サンキュー。部屋鍵につけとくわ。」
「俺にも!?弘毅、ありがとう。やっぱ俺、クラゲにする。ちょっと待ってて!」
本物飼えないもんな。
自覚があって何よりだ。
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