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デートに保護者(5)
歩き回ってお腹も空いた。
すっかり昨夜の酒も抜けたようだ。
どうやら、お昼はここからすぐのエスニックの店に連れて行ってくれるらしい。
店の外観も内装も、それっぽくていい感じだ。
料理も美味い!誘惑の嵐だ!
飲んで食べて。
俺はこの出張中、ベルトがキツくなったように感じるのは気のせいだろうか。
これ以上、恋愛と程遠くなるのは勘弁したい。
俺だってかわいい彼女がほしいんだ!
顔はそこそこ。性格も悪くない、と思う。
なのに、何故、何故、続かないんだろう…切ないなぁ。俺の何が足りないんだろう…
とか何とか凹みつつも、また腹一杯食べてしまった。
弘毅に「他に行きたい所はないのか」と聞いても、
「もう満足したからいいんだ。大兄ちゃん達は?」
と逆に聞かれて、俺も茂明も、もうのんびりしたくて白旗を上げた。
結局またお誘いを受けて、達也達のマンションへと戻って行く。
夕飯は軽く蕎麦にしようと、全員の意見が一致した。
達也に散財させてしまった分、夜は俺と茂明で材料を買い込んだ。
手間を考えて、天ぷらも揚げたてのを買ってきた。……これじゃあ、“軽く”ではないけれど。
一緒に飯を食い酒を酌み交わし話をするうちに、俺は達也という人間に好感を持つようになっていた。
あんなに攻撃的に振る舞っていたというのに、俺も大概単純馬鹿だと思う。
弘毅のことを大切にしながら、俺の気持ちも分かってくれる。
何だか面映いけれど、俺にも兄貴がいたらこんな感じなのかと想像すらしてしまう。
これは是が非でも2人を添い遂げさせてやりたい。
親父は…頭ごなしに拒絶しそうだ。
としたら…やはりお袋から射んとせねば。
大体、親父は偉そうにしているくせに、最終決断はどうやらお袋の意見を最優先させているのは間違いない。
だとしたら、先にお袋を攻略するべきだな。
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