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デートに保護者(8)

これ以上言い合いをしても仕方ない。 「先にシャワー浴びてもいいか? 『対親父お袋』について相談しないと。」 「うん、いいよ。 できれば絶縁は避けたいからな。 念入りに計画して落としていかないと。 にーちゃん出たら俺も入るよ。」 「あぁ。急いで入る。ちょっと待っててくれ。」 テーブルにはビール缶。今夜は1本だけと誓う。 「俺はさ、先にお袋に言った方がいいと思う。 親父はお袋の言うことなら聞くからな。」 「にーちゃんも?俺もそう思う。 でもどうやってお袋に伝えるんだ?」 「強硬手段だが……何か理由付けてお袋だけこっちに呼んで、達也に会わせるのはどうだ!? 実物見て納得してもらうのが1番じゃないか? …現に、反対してた俺だって、達也の人となりを知って応援する羽目になってる。」 「確かに。でも……すっげぇ賭け。大博打じゃん。 何かあればお袋と親父とセットで動くからな。面倒だ。 知らない間に親父が、しなーっ、と付いてくるんだよ。オマケみたいに。 ああ見えて、ひとりで買い物にも行けないんだぜ。 嫁離れしろって。一体幾つだと思ってんだ。 にーちゃん、お袋は大人しそうに見えて、あの親父を手の平で転がす中々の女だぜ。 一筋縄じゃあいかないと思う。」 「そんなこと分かってるよ。 でも、弘毅の幸せのために俺達が何とかしなけりゃ。 呼び出す理由は、焦らずに考えよう。 お前の彼女のお姉さん達の時はどうだったんだ?結局相手方と絶縁になったんだろ?」 「彼女ん家はさ、割と何でも受け入れるタイプの家でさ。 お姉さんが『同性と結婚したい』って、正直に正攻法で、どストレートに申し出た時も、かなりビックリしたんだけど『この子達が真剣なら』って受け入れたんだ。 ところが相手方の両親が激怒してね。」 茂明はビールをひと口飲むと、ため息をついた。

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