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本気(3)

「それって……褒めてもらえてるんでしょうか…」 「当たり前だろ?お前以上の相手は今までもこれからもいない。 生涯の伴侶と呼べるのは、弘毅、お前だけ。お前は俺のオンリーワンなんだよ。 お前さえ俺の側にいてくれればいい。 身内の心強い味方も2人いるじゃないか。 この先どんなことがあっても、俺はお前を離したりしない。 絶対に俺から離れないで。 弘毅、愛しているんだ。 例えお前のご両親が大反対しても、命を掛けてお前を守る。 また同じことを…と思うかもしれないが、俺にとったらまだ言い足りない。 どれだけ言葉にしても、後から後から溢れ出して止まらないんだ。」 「達也さん……」 「弘毅…」 そっと触れ合うだけのキスが落とされた。 気遣うような優しいキス。 俺の身体を気遣っているのがありありと分かる。 それと。物凄く我慢していることも。 俺の肩に触れる手の平が熱を持ち始めてる。 その部分からじわじわと侵されて、平静でいられなくなってくる。 心ではこの愛おしい恋人を狂おしい程に求めるけれど、身体がついていかない。 だって…昨日の今日だよ!? 動けないくらいに抱かれて、今だって起き上がるのも辛いんだよ!? 本能のままに抱き合えば、益々動けなくなるであろう俺は、滅茶苦茶後悔することになるはず。 大好きな(ひと)と肌を重ねて後悔するなんて、俺は嫌だ。 恥ずかしいけれど、いつでも2人でとことん気持ち良くなりたい。 そんな俺の気持ちなんて、達也さんには絶対お見通しだ。 小鳥のように啄みながら、達也さんは俺の手からそっと和紙を手離させると机に置き、俺をしっかりと抱きしめた。 俺はうっとりとその逞しい胸に身体を預けた。 離れたくない。離したくない。 あなたは俺の物。誰にも渡さない。 俺の本気…どうやったら達也さんに届くんだろう。

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