168 / 280

本気(4)

本気の恋――いや、愛だ。 恋なんて生易しいものではない。 本能的に求め合う愛。 達也さん、俺きっとあなたが思ってくれてる以上に、あなたのことを愛しています。 今まで生きてきて、こんな気持ちになったことは初めてです。 これは揺るがないし覆せない。 誰が何を言おうと何を仕掛けてこようと。 もし、誰かがあなたを傷付けるようことをしたならば、俺は自分の持てる全てであなたを守ります。 ひ弱で何の役にも立たないかもしれない。 それでも、それでも俺は…… 「弘毅?」 優しく名前を呼ばれて顎を掬い取られた。 いつの間にか溜まっていた両目の涙の粒を丁寧に啜り取られた。 そして鼻先にキスを落とした達也さんは 「心配するな。 2人の気持ちがしっかりと繋がっていれば何も怖いものなんかない。 『愛してる』 このひと言でいいんだ。 俺はどんなことがあっても、どんなことになっても、お前を守るし離さないし離れない。 これだけは信じてくれ。」 この恋人(ひと)は。 とてつもなくカッコ良過ぎるよ。 俺にも言わせてほしい。 「…達也さん…俺だって大切なあなたを守りたい。 離れないし離さない。 愛しています……」 ふっ、と微笑んだ顔が近付いてきた。 唇に触れる熱さと柔さ。 そこから伝わる愛情に震える心を抑えることができなかった。 じわじわと涙が溜まっていく。 高鳴る心とリンクするみたいに。 達也さんは俺の唇から目元へと何度もキスを繰り返してくれていた。 愛してる 愛してる 幸せの波動に包まれて満ち足りていく。 俺達、きっと生まれた時から結ばれる運命だったんだ。 達也さんに抱き込まれて、逞しい胸にぴったりと顔を寄せる。 鼓動が俺の耳から浸透してきて、一つの身体になったような錯覚を起こす。 そして俺は愛おしい温もりに包まれたまま、静かに意識を手放していたのだった。

ともだちにシェアしよう!