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由美江おばさん(7)
夕食の手伝いを申し出たが
「野菜を切るだけだから。」
と却下された。
能天気な茂明も流石に悪いと思ったのか
「にーちゃん、これは申し訳なさすぎる。」
と、庭の草むしりを始めた。
何でも張り合っていた小さい頃の記憶が蘇ってきたのか、何故か途中から競い合うように隅から隅まで綺麗に除草し、汗だくの俺達は大笑いするおばさんに急き立てられるように風呂場へ押し込まれた。
結果、まだ仕事中の家の主人を差し置いてひとっ風呂浴びることになった。
遠慮しながらもさっぱりとして気分良く上がってくると、よく冷えたビールを出され、流石にそれは辞退した。
「おばさん、俺達がいくら図々しくてもさ、家の主人を差し置いてそれはないよ。
おじさん帰るまで待たせてよ、ね?」
「あらそう?ふふっ、えらく殊勝なのね。
じゃあそこら辺で寛いでて。
もうすぐ帰ってくるから。」
代わりにキンキンに冷えたお茶を出してくれた。
「あ、ありがとう。ねぇ、千秋達元気?」
「ええ、どっちも元気よ。
相変わらず自由な生活をしてるみたい。
あ、千秋来年あたり結婚するかも。招待状出すから来てくれる?」
「えっ、ホント!?相手は?そんな物分かりのいい人いたんだ。
そうか、やっと千秋も嫁に行くのか。」
「そうよ『やっと』ね。長かったわ〜。
あんな男勝りの子、貰ってくれる人がいるのか心配だったんだけどね。」
「どんな人?」
「あのねぇ…ひと言で言うと…熊みたいな人。」
「「熊ぁ!?」」
「そう、熊!後で写真見せてあげるわ。」
「そう言えば千秋、会社の忘年会で三太郎のうちの『金太郎』になった、って得意げに言ってたぞ。」
「熊と金太郎か。そりゃ、凄い。」
千秋は俺より2つ上の従姉妹だ。
やることなすこと男前で(これは絶対におばさんの性格を丸ごと受け継いでる)、俺達は嫁の貰い手がないと、密かに心配していたのだ。
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